労働安全衛生規則第24条の13を、ロボットを買う側から読むと、供給側から危険性の情報は届くのか、更新後はどうなるのか

目次
ロボットを発注した工場の担当者が、納入の前に確かめたくなることの一つは、取扱説明書や仕様書とは別に、「この機械のどこに、どんな危険が残っているか」を書いた文書が届くのかどうかです。届くとすれば、法令のどこに、何が、いつまでにと書かれているのか。この記事は、機械を譲渡・貸与する側ではなく、受け取る側の工場長、安全衛生の担当者、購買・契約の担当者に向けて、その答えを、条文と告示の原文、および厚生労働省の周知用パンフレットに載る通達の留意事項の範囲で読みます。
この記事でいう「受け取る側」とは、機械の譲渡又は貸与を受ける事業者(条文でいう相手方事業者)を指します。読むのは、労働安全衛生規則の第24条の13と、その第2項に基づく指針(平成24年厚生労働省告示第132号)、そして厚生労働省が公開している周知用パンフレット(平成24年4月、8頁)に載っている通達(平成24年3月29日付の基発0329第7号と第8号)の留意事項です。通達の留意事項は、パンフレットに載っている部分だけを読みました。
先に結論:条文が約束していることと、約束していないこと
- 第24条の13第1項は、機械を譲渡し又は貸与する者に、危険性等を文書の交付等により相手方の事業者へ通知するよう「努めなければならない」と定めています。努力義務であり、届くことを約束する書きぶりではありません。
- 指針は、通知は文書の交付で行い、機械を譲渡し又は貸与する時以前に行うものとしています。通知の内容の説明と、通知した記録の作成・保存にも配慮するよう求めています。通達の留意事項は、時期について、受け取る側がリスクアセスメントを実施するのに支障のないよう「十分前もって行うことが望ましい」としています。ただし、指針は通知を促す側に向けたもので、受け取った事業者がその後に何をするかを定めたものではありません。
- 条文と指針の本文には、機械の更新、改造、再学習に当たる語が出てきません。パンフレットに載る通達の留意事項には、機械の改造についての記述はありますが、ソフトウェアの更新や再学習に当たる語は見当たりませんでした。AIで動くロボットで、更新や再学習のあとに通知が改められるのかは、読んだ範囲からは読み取れません。この部分は、発注の前に契約で決めておくことを提案します。
この記事は、個別のロボットがこの条文でいう「機械」に当たるか、特定の供給者が通知に努めたといえるか、罰則や民事上の責任、契約書の文言の当てはめを判断するものではありません。通達の原本の全文と、指針の第5条が定める細目の本文は、この記事では確認していません。個別の判断は、メーカー、所轄の労働基準監督署、安全衛生の専門家、法務に確認してください。
条文は、2026年10月21日の確認時点で、現在施行されている版と、e-Govに載っている公布済みで未施行の最新版(2028年4月1日施行分)とで、第24条の13の文言が同じでした。
条文の言葉を、受け取る側の言葉に置き換える
第24条の13第1項の文を、受け取る側から見た言い方に直すと、次のようになります。右の列は、条文の文言から言えることと、書かれていないことです。
| 条文の言い方 | 受け取る側から見ると | 条文の本文から言えること、書かれていないこと。通達の留意事項にあること |
|---|---|---|
| 機械を「譲渡し、又は貸与する者」 | 売る側、貸す側 | 主語は「者」で、メーカーに限る書き方ではありません。通達の留意事項は、機械単独ではなく複数の機械が一つのシステムとして使用される場合には、そのシステムの取りまとめを行う機械譲渡者等が、機械を組み合わせることで新たに出現する残留リスクなどについて通知する必要がある、としています。自社の取引で誰が取りまとめ者に当たるかは、取引ごとに確かめる事項です |
| 「労働者に危険を及ぼし、又は労働者の健康障害をその使用により生ずるおそれのある機械」 | 通知の対象になる機械 | 全ての機械ではなく、この性質の機械が「機械」と定義されています。通達の留意事項は、指針でいう「機械」の定義を、機械の包括的な安全基準に関する指針の定義によるとしています。自社のロボットが当たるかは、この記事では判断しません |
| 「当該機械の譲渡又は貸与を受ける相手方の事業者」 | 買う側、借りる側の事業者。読者の会社 | 宛先は事業者です。業種を限る文言は、この条文には書かれていません |
| 「文書の交付等により」 | 書面などで届く | 条文は「等」の中身を書いていません。指針は、文書を交付することにより行うものとしています |
| 「通知するよう努めなければならない」 | 届くよう、供給側が努める | 努力義務です。受け取る側が届いていないときに求める手続は、条文には書かれていません |
通知する事項は、次の五つです。原文の言い回しに沿って並べます。
- 型式、製造番号その他の機械を特定するために必要な事項
- 機械のうち、労働者に危険を及ぼし、又は労働者の健康障害をその使用により生ずるおそれのある箇所に関する事項
- 機械に係る作業のうち、第2号の箇所に起因する危険又は健康障害を生ずるおそれのある作業に関する事項
- 第3号の作業ごとに生ずるおそれのある危険又は健康障害のうち最も重大なものに関する事項
- 前各号に掲げるもののほか、その他参考となる事項
読むときの注意が一つあります。第4号が求めているのは、作業ごとの「最も重大なもの」に関する事項です。その作業で起こりうる危険の全てを並べることまでは、この号の文言からは読み取れません。
第2項が示す、通知の使い道
第2項は、厚生労働大臣が、相手方事業者の労働安全衛生法第28条の2第1項の調査とその措置の適切かつ有効な実施を図ることを目的として、通知を促進するための指針を公表できる、と定めています。つまり条文は、通知を、受け取る側の事業者が行う調査の材料として位置づけています。
その法第28条の2第1項は、事業者が設備等による危険性又は有害性等を調査し、その結果に基づいて措置を講ずるように「努めなければならない」と定めています。ただし書で、化学物質に関するもの以外の調査は、製造業その他厚生労働省令で定める業種の事業者に限られます。通知の条文は受け取る側の業種を限っていませんが、調査の条文には業種の限定があります。自社の業種がその対象かどうかは、所轄に確認してください。この調査の条文の読み方は、AIを載せたロボットの安全の記事で扱っています。
通知も調査も、どちらも努力義務の書きぶりです。「届かなかった」ことと「調査をしなかった」ことは、別々の話として読む必要があります。
告示の指針は、いつ・どんな形で・どこまでを書いているか
指針は、厚生労働省の法令等データベースに掲載された告示の本文で確認しました。平成24年4月1日から適用されるものとして定められています。第1条は、目的を、相手方事業者の法第28条の2第1項の調査と措置の適切かつ有効な実施を図るため、通知を促進し、機械による労働災害の防止に資することとしています。
受け取る側が知りたい問いごとに、条文と指針の本文が書いていることと、書いていないことを並べます。右の列には、パンフレットに載る通達の留意事項に、その問いに答える記述があれば併記します。通達の留意事項は、条文や指針の本文とは別の文書です。
| 受け取る側の問い | 条文と指針の本文に書かれていること | 本文に書かれていないこと。通達の留意事項にあること |
|---|---|---|
| どんな機械が対象か | 指針第2条第1項:労働者に危険を及ぼし、又は労働者の健康障害をその使用により生ずるおそれのある機械で、事業場で使用されるもの。主として一般消費者の生活の用に供するためのものは除く | 個別のロボットが当たるかは書かれていません。通達の留意事項は、「機械」の定義を機械の包括的な安全基準に関する指針の定義によるとしています |
| いつ届くか | 指針第3条第4項:機械を譲渡し、又は貸与する時以前に行うものとする | 「時以前」の具体的な期日(納入の何日前か)は、本文には書かれていません。通達の留意事項は、受け取る側がリスクアセスメントを実施するのに支障のないよう、十分前もって行うことが望ましいとしていますが、日数は示していません |
| どんな文書か | 指針第3条第2項:残留リスクマップ(機械の絵又は図を用いて、第1号の事項のほか、第2号から第5号の事項の全部又は一部を簡潔に記載し、情報の全体像を示したもの)、残留リスク一覧(第1号から第5号の事項を作業ごとに詳細に記載したもの)の方法で記載した文書を交付する。第3項:マップに全ての事項を詳細に記載した場合は、一覧の記載を省略できる | 様式の見本は告示の本文にはありません。細目は第5条が労働基準局長の定めとしています。パンフレットには、通達の別添として、残留リスクマップと残留リスク一覧の様式例が載っており、どちらにも受領確認の欄があります。様式例には通達の留意事項も付いており、マップについては、機械の全体図が示されていること、通知の作成者が想定した全ての残留リスクの情報が全体図に記載されていること、一覧と関連付ける記号または番号があること、機械上の箇所が特定されない残留リスクは全体図の近くに別枠で記載されていることを挙げ、リスクの概要(危険、警告、注意などの分類)はその文書だけで容易に認識できることが望ましいとしています。一覧については、想定した全ての残留リスクの情報と、使用する事業者が実施すべき全ての保護方策の情報が記載されていること、マップ上の箇所を特定する記号または番号、運用段階および作業内容、保護方策を実施しない場合のリスクおよび危害の内容、作業に必要な資格・教育(必要な場合に限る)、使用する事業者が実施すべき保護方策、取扱説明書の参照部分が、一覧性のある表などにまとまっていることを挙げています。通達の留意事項は、マップと一覧を原則として取扱説明書の冒頭など使用する事業者が認識しやすい箇所に記載すること、取扱説明書とは別に印刷物や電子データで提供する方法もあること、を挙げています |
| 作業とは何を指すか | 指針第2条第2項:条文第3号の作業の範囲は、機械を稼働させるための準備作業、運転及び保守等 | 「等」の中身は本文には書かれていません。通達の留意事項は、作業の範囲を、使用する事業者が行う全ての作業とし、機械の製造者が実施する作業は対象としないとしています。「保守等」の「等」には、使用する事業者が機械の設置、解体の作業を行う場合が含まれるとしています |
| 説明を受けられるか | 指針第3条第5項第1号:譲渡し又は貸与する時以前に、通知の内容を相手方事業者に説明することに配慮する | 説明の方法(対面か書面か)は本文には書かれていません。通達の留意事項は、使用する事業場の安全衛生管理に関する責任部署に、通知の内容を直接説明することが望ましいとしています |
| 記録は残るか | 指針第3条第5項第2号:相手方事業者の名称、通知を行った日等の記録を、供給側が作成し保存することに配慮する | 受け取る側に保存や記録を求める規定は書かれていません。通達の留意事項は、供給側の記録の保存期間を、機械の耐用年数などを考慮して決めるとしています |
| 届かなかったとき | 条文第1項:通知するよう努めなければならない | 受け取る側が求める手続、届かなかった場合の扱いは書かれていません |
| 受け取ったあと何をするか | 条文第2項と指針第1条:通知は、相手方事業者の法第28条の2第1項の調査と措置の適切かつ有効な実施を図るためのもの | 受け取った文書の確認、保存、教育への反映の仕方は、指針の本文には書かれていません。通達の「その他の配慮すべき事項」は、使用する事業者がリスクアセスメントを実施するために必要な場合は、製造者等が、通知の事項以外の追加的な情報も、使用する事業者との協議により提供することが望ましいとしています |
| 受け取った機械を、次に譲渡・貸与するとき | 指針第4条:交付された文書を別の相手方事業者に交付することで、通知をしたものとみなす | 改造した場合の扱いは本文には書かれていません。通達の留意事項は、みなし通知が認められるのは、機械の改造を行っていない場合か、通知の内容と異なる改造がなされていない場合に限られ、改造した場合は再譲渡・貸与を行う事業者が自ら通知の作成を行う、としています |
指針の第3条第1項は、供給側が自ら通知の文書を作る場合に、機械に関する危険性等の調査の手法、その結果に基づく労働災害防止の措置の方法、機械に適用される法令等について十分な知識を有する者に作らせるものとしています。受け取る側からは、文書を誰が作ったのかを尋ねる根拠の一つになります。
届いた文書を受け取る日に見るところ
次の確認は、条文が受け取る側に求めているものではありません。条文と指針の項目、通達の留意事項を、受領の場面で見る点に置き換えた、作成者による整理の提案です。
- 機械の特定:第1号の型式と製造番号が、納入された現物と発注書の記載と一致しているか
- 文書の種類と日付:残留リスクマップか残留リスク一覧か。受け取った日と、受け取った人。納入より前に受け取ったのか、後なのか。通達の別添の様式例には受領確認の欄があるため、その欄を使うか、同じ事項を自社の記録に残す
- 対象の範囲:文書が、ロボット本体だけか、ハンドや周辺機器、制御のソフトウェアまでを対象にしているか。条文と指針の本文は、通知の対象を機器とシステムのどちらの単位で数えるかを書いていません。通達の留意事項は、複数の機械が一つのシステムとして使用される場合には、取りまとめを行う機械譲渡者等が、組み合わせで新たに出現する残留リスクなどについて通知する必要がある、としています。誰が取りまとめ者か、システムとして通知を受ける範囲はどこまでかは、取引ごとに違うため、発注のときに書面で確認しておくことを提案します
- 危険箇所:第2号の箇所が、現物のどこに当たるかを、現場で照らせるか
- 作業:第3号の作業の欄に、自社で行う準備、運転、保守の作業が載っているか。載っていない作業は、供給側への質問にします
- 最も重大な危険:第4号の事項が、作業ごとに書かれているか
- 参考となる事項:第5号に何が書かれているか。条文は中身を限っていませんが、通達の留意事項は、保護方策が必要となる機械の運用段階、作業に必要な資格・教育(必要な場合に限る)、機械の使用者が実施すべき保護方策、取扱説明書の参照部分が含まれる、としています。書かれている内容と、自社の使い方との差を見る
- 説明:指針が配慮事項とする説明を、誰が、いつ受けたか
- 保管:受領日、文書の版、保管場所を記録したか。将来、自社が機械を譲渡・貸与する場合に、そのまま渡せる状態か
- 中古の機械の場合:それまでの使用者による改造の有無と内容が書かれているか。通達の留意事項は、中古の機械を改造している場合は、機械譲渡者等はその内容も調査し、通知する必要がある、としています
マップだけが届いて一覧が無い場合は、マップに第1号から第5号までの事項が全て詳細に書かれているかが、確認の点になります。指針の第3項は、全て詳細に記載した場合に、一覧の記載を省略できると書いているためです。
受け取った内容を、自社の調査にそのまま使うか、現場の作業の実態に照らして見直すかは、事業者が決めることです。通知は調査の材料という位置づけで、通知の内容が自社の作業に合っているかどうかを、通知が保証するわけではありません。作業を行う人の教育との関係は、特別教育の記事に、運用の分担は運用体制の記事にあります。
届かない・足りないときは、発注書と契約で求める
条文が努力義務である以上、届くことを前提にして納入を待つ形では、納入の日になって初めて、文書が無いことに気づくことがあります。次の項目を、発注書、仕様書、契約のいずれかに書いておく、というのが作成者の提案です。契約書の文言としてどう書くか、法的にどう働くかは、法務に確認してください。
- 対象:通知の対象とする機器の範囲(本体、ハンド、周辺機器、ソフトウェア)
- 形式:残留リスクマップか残留リスク一覧か。両方か
- 時期:納入の何日前までに交付するか。指針の「時以前」を、日付に置き換える
- 説明:誰が、いつ、誰に説明するか
- 宛先と受領の記録:誰宛てに交付するか。受け取った側が、受領日を記録する
- 不足があるとき:不足の指摘を受ける窓口と、改訂版を出す期限
- 追加の情報:通知の事項に載らない情報(残留リスクと判断した根拠など)が自社のリスクアセスメントに要るときの、請求の窓口と守秘の取り決め
追加の情報について、通達の「その他の配慮すべき事項」は、機械の設計・製造段階で本質的安全設計方策が施された危険源の情報や、製造者等が残留リスクと判断した根拠について、使用する事業者の要求により追加的な情報として提供することが適当としています。また、使用する事業者にとって必要な情報が製造者等の企業秘密に当たる場合や、提供の負担が過大となる場合は、適切な代償や守秘義務を講じるなど、当事者間の契約などに基づき提供することが適当としています。これらは、契約に取り決めを置く理由の一つになります。
文書が届いたあとに不足が見つかったときは、どの号の事項が足りないのかを示して、書面で照会します。次は、架空の例です。「納入前に交付をお願いしている危険性等の通知文書について、第3号の作業の欄に、当社で行う保守作業(例として、ハンドの交換)が記載されていません。記載の有無のご確認と、無い場合の追記をお願いします。」実際の文面は、取引の内容と契約に合わせて作ってください。
AIで動くロボットで、条文が何も言っていない部分
2026年10月21日に、e-Govの第24条の13の条文と、厚生労働省の法令等データベースに掲載された告示の本文を確認したところ、「更新」「改造」「再学習」「ソフトウェア」「プログラム」に当たる語は、どちらにも出てきませんでした。パンフレットに載る通達の留意事項には、「更新」「ソフト」「プログラム」「学習」に当たる語は見当たりませんでしたが、機械の改造についての記述はあります。中古の機械について、それまでの使用者が改造している場合は、その内容も調査して通知する必要があること、再譲渡・貸与では、改造した場合に自ら通知の作成を行うことです。使用する事業者が改造を行う際のリスクの見積もりなどに必要な場合がある情報として、追加的な情報の提供を挙げる記述もあります。これらは機械の改造についての記述で、ソフトウェアの更新や再学習が「改造」に当たるかどうかは、読んだ範囲では書かれていません。
そのため、次のことは、条文と指針の本文、読んだ範囲の通達の留意事項からは読み取れません。
- 更新や再学習で動きが変わったあとに、通知が改められるのか
- 改められる場合に、誰が、いつ、受け取る側に知らせるのか
- 自社が設定や作業の内容を変えたとき、通知の前提との差を誰が見るのか
「定めがない」ことは、「義務がない」ことも「義務がある」ことも意味しません。条文と指針の本文、読んだ範囲の通達の留意事項に書かれていない、というだけです。指針の第3条第4項は、通知の時点を「譲渡し、又は貸与する時以前」と書いており、取引の時点を基準にした書き方です。AIで動く機械が、納入のあとに動きを変えうる場合は、この空白を契約で埋めておくことを提案します。
契約で確かめる項目を、表にまとめます。これも作成者の提案です。
| 確かめる項目 | 決めること | 決めないと起きやすいこと |
|---|---|---|
| 通知の対象とする版 | 通知文書が、どの機器構成、ソフトウェアの版、学習済みモデルの版に対するものかを、文書に書く | 受け取った文書が、いま動いている版のものかが分からない |
| 更新・再学習の事前連絡 | 動きが変わりうる更新や再学習を、適用の前に知らせるか。知らせる相手と期限 | 気づかないうちに、通知の前提が変わる |
| 通知の改訂 | どんな変更で通知を改めるか。改訂版をいつまでに出すか | 変更のたびに、改めるかどうかで話がもつれる |
| 旧版の文書 | 差し替えたあとも、旧版を受け取る側が保管するか | 変更の前後で何が違ったのかを、あとから追えない |
| 自社側の変更 | 治具、設定、作業の追加などを自社で変えたとき、通知の前提との差を誰が見るか | 通知の範囲を超えた使い方になっても、誰も気づかない |
更新や再学習を、リスクアセスメントを見直す契機としてどう扱うかは安全の記事に、受け入れた版と、再学習のあとに受け入れ直す範囲は検収の前に契約で決めておくことの記事にあります。この記事の表は、そこに「供給側から届く危険性等の通知を、どの版に紐づけるか」を加えるものです。
周辺の解説で確認できたこと、できなかったこと
2026年10月21日に、機械の譲渡時の危険情報の通知、協働ロボットのリスクアセスメント、産業用ロボットの安全対策の法令・規格を説明するウェブの解説3件の本文を取得して読みました。MONOistの解説は2ページ構成で、両ページを読みました。あわせて、厚生労働省の周知用ページと、そこで公開されている周知用パンフレット(8頁)も読みました。パンフレットは、機械を譲渡または貸与する事業者に向けた周知で、条文と指針の概要、通達の留意事項、様式例を含みます。
確認した範囲では、この記事と近い記述が複数ありました。機械の譲渡・貸与の側に向けて、第24条の13の通知を努力義務として説明し、通知の事項、残留リスクマップと残留リスク一覧、中古機械や自社で作った設備の扱い、通知の文書を作る手順、交付の記録を残すことを述べた解説があります。その解説は、中古機械の節で、改造・後付けをした譲渡元が、改造後の状態でリスクを評価し直し、通知に反映する責任を負うとも述べています。内製設備の節では、協働ロボット等を後付けする場合の追加の評価や、移設前のリスクアセスメントを挙げています。その解説には、使用者が講ずべき保護方策の記載が曖昧だと、譲渡先が「安全対策済み」と誤解して必要な運用のルールを設けないまま使い始めてしまう、という記述もありました。また、機械の安全の考え方として、設計や安全防護で防ぎきれないリスクを、警告や取扱説明書などの使用上の情報で伝える段階を説明する解説が2件ありました。うち1件は、システム全体の安全を確保する責任は、導入して使用する事業者にある、とも述べています。
なお、譲渡側向けの解説は、通知の五つの事項を、危険箇所、危険を伴う作業、最も重大な危険、実施済みの保護方策、使用者が講ずべき保護方策という区切りで整理しており、省令第1項の第1号から第5号の列挙とは区切りが異なります。この記事は、省令の列挙のとおりに書いています。
一方、確認した3件の本文では、受け取る側が、届く時期、文書の種類、説明と記録の扱い、努力義務であることを、条文と告示の原文から整理した説明は確認できませんでした。受け取った日に文書で見る点の整理、届かないときや足りないときに契約で求める項目の整理も、確認できませんでした。AIで動くロボットの更新や再学習のあとに、通知がどうなるのかに触れた記述も、確認できませんでした。厚生労働省のパンフレットは供給側に向けた周知で、様式例に受領確認の欄があることや、様式例の留意事項(マップと一覧に載っているべき事項)、通達の留意事項に、時期、システムの取りまとめ者、追加的な情報の提供などの記述があることを除くと、受け取る側が届いた文書のどこをどう見るかや、届かないときの求め方を整理した記述は確認できませんでした。これは確認した範囲の話で、ほかの解説や資料に同様の記述がないとは言いません。
WITHPROJECTSの公開ページとの関係
WITHPROJECTSの公開ページ(フィジカルAIのPoC支援)は、PoCの前に決める条件の一つに「環境と安全」を挙げ、安全に関わる条件は、関係法令・規格と、現場の安全管理者・専門家の確認を前提に決める必要がある、と書いています。供給側から届く危険性等の通知の取得の代行、リスクアセスメントの実施、法令への適合の判断は、公開ページに記載のある提供範囲ではないため、この記事では提供するとは述べません。公開ページは、フィジカルAIのPoC支援とフィジカルAI事業化・FDE支援にあります。
この記事は、個別のロボットや取引について、通知の対象や適否を示すものではなく、安全や成果を保証するものでもありません。
個別相談のご案内
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