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配車を当日に変えたとき、運行管理者の指示と記録はどうつながるのか

AI(DX AX)

朝、運転者が急に出られなくなる。荷主から追加の便の依頼が入る。納品先の都合で到着の時刻が動く。配車担当はこうした場面で配車表を組み直し、配車ソフトやAIが再計算した案を使う会社もあります。ところが、配車表の上では変更が済んでいても、点呼の記録、運行指示書、日報(業務の記録)に同じ変更が入っているとは限りません。

この記事は、運送会社の経営者、配車担当、運行管理者に向けて、当日の配車の変更を「誰が決め、運転者にどう伝え、どの記録に残すか」の三つに分け、変更の行き先を分岐で整理したものです。行き先を分けるのは、変更の大きさではありません。その運行が運行指示書を必要とする運行かどうかと、変更によって点呼を対面で行えない乗務が生じるかどうかです。個別の運行が法令に合っているかの判断と、配車システムの比較は、この記事では扱いません。

配車表の書き換えは、社内の計画を直したにすぎない

配車表(配車ソフトの画面を含む)は、誰がどの車でどの荷を運ぶかを社内で決めて共有するための計画です。一方、貨物自動車運送事業輸送安全規則が事業者に求める記録は、配車表とは別の記録として、記録すべき事項と保存期間が定められています。点呼を行ったときは、点呼を行った旨、報告・確認・指示の内容、点呼を行った者と受けた運転者等の氏名、事業用自動車の識別表示、点呼の日時と方法などを運転者等ごとに記録し、一年間保存します(第7条第5項)。運転者等の業務についても、運転者等ごとに、車両の識別表示、業務の開始・終了の地点と日時、主な経過地点などを記録させ、一年間保存します(第8条第1項)。

e-Gov法令検索で取得した現行の規則の本文には、「配車」という語は出てきません。配車表がこれらの記録を兼ねられるかは、配車表の記載項目を条文の記録事項と照らして確かめることになります。兼ねられない項目が残るなら、配車表を直しただけで記録まで直ったことにはなりません。

そこで、当日の変更を次の三つに分けて考えます。

  • 決める:誰が、その変更を確定するのか
  • 伝える:誰が、どの手段で、運転者に変更を伝えるのか
  • 残す:どの記録の、どの項目に、変更を反映するのか

決める人:配車の案を作ることと、乗務を確定することは別の仕事

運行管理者の業務として、規則は、勤務時間及び乗務時間の範囲内で乗務割を作成し、これに従って運転者を乗務させることを挙げています。点呼、業務の記録、運行指示書の作成と変更の記載も、同じ運行管理者の業務に並んでいます(第20条第1項)。勤務時間と乗務時間は、事業者が国土交通大臣の告示で定める基準に従って定めるものとされています(第3条第4項)。運転者や車両を当日に入れ替えると、乗務割そのものが変わります。入れ替えた後の乗務が、定めた勤務時間と乗務時間の範囲に収まるかを誰が確かめるのかも、決めておく必要があります。

運行指示書がある運行については、通達が、運行指示書と異なる運行を行う場合は原則として運行管理者の指示によって行わせるとしています。

一方、配車担当という役割は、取得した規則の本文には出てきません。どこまでを配車担当に任せ、どこから運行管理者が確定するかは、条文が線を引いていないため、自社の規程で決める部分になります。一例として、次のように分けておく方法があります。

  • 運転者や車両の入れ替え、乗務の時間帯が変わる変更:配車担当が案を作り、運行管理者が乗務として確定する
  • 運行指示書がある運行の変更:運行管理者が指示する(次の節以降)
  • 運転者も車両も同じまま、届け先の順序だけを入れ替える変更:どこまで配車担当が決めてよいかを規程に書き、迷うものは運行管理者に回す

運行管理者が不在の日の連絡と指示の体制は、運行管理者が休んだ日の点呼はどうするかで扱っています。

分岐を一枚にすると

次の表が、この記事全体の見取り図です。三つの区分のどれに当たるかで、指示の出し方と残す場所が変わります。「対面等」は、対面、または対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法を指します。

変更が出た運行変更の指示運転者側に残すもの事業者側に残すもの
運行指示書を作成している運行で、開始・終了の地点や日時、経路、主な経過地の発着日時が変わる運行管理者が、電話その他の方法で指示する携行している運行指示書に、変更の内容を記載する運行指示書の写しに、変更の内容と、指示を行った日時、運行管理者の氏名を記載する
運行指示書を作成していない運行で、乗務前と乗務後の点呼がどちらも対面等では行えない業務が生じる運行管理者が、運行指示書を作成し、電話その他の方法で指示する業務の記録に、指示の内容を記録する営業所に運行指示書を備え置き、運行指示書と業務の記録に、指示の日時と運行管理者の氏名を記載する。業務の途中の点呼も加わる
上のどちらでもない通常の運行乗務前なら乗務前点呼で指示する。運行中の伝え方は、確認した範囲では条文に定めがなく、自社で決める業務の記録に反映する点呼の記録(指示の内容)と、自社の変更の記録

分岐1:その運行は、運行指示書を作っている運行か

運行指示書が必要になるのは、第7条第3項に規定する業務を含む運行です(第9条の3第1項)。第7条第3項は、乗務前の点呼と乗務後の点呼のどちらも対面等では行えない業務を行う運転者等に対して、その点呼のほかに、業務の途中で少なくとも一回、対面による点呼と同等の効果を有する方法(困難な場合は電話その他の方法)で点呼を行うことを求めています。

国土交通省の通達の別紙は、乗務の前または後の点呼を対面で行う乗務には、運行指示書も業務の途中の点呼も義務はない、という図を示しています。朝に営業所で乗務前点呼を受け、夕方に営業所へ戻って乗務後点呼を受ける日帰りの運行は、通常はこの側に入ります。この規則の運行指示書の規定が適用される事業者の区分は、条文で決まっています。自社が当たるかは条文で確かめてください。

当日の変更でまず確認するのは、次の二点です。

  1. その運行は、出発時に運行指示書を作成していたか
  2. 作成していなかった場合、変更によって、乗務前と乗務後の点呼がどちらも対面等では行えない乗務が生じるか

1が「はい」なら分岐2へ、1が「いいえ」で2が「はい」なら分岐3へ、どちらも「いいえ」なら分岐4へ進みます。

分岐2:運行指示書がある運行で、行き先や日時が変わるとき

運行の途中で、運行指示書の第1号(運行の開始及び終了の地点及び日時)または第3号(運行の経路並びに主な経過地における発車及び到着の日時)の事項に変更が生じた場合、事業者がすることは三つです(第9条の3第2項)。

  1. 運行指示書の写しに、変更の内容を記載する(変更に伴って、注意を要する箇所、休憩、交替の地点などに生じた変更も含む)
  2. その内容を、電話その他の方法で運転者に適切に指示する
  3. 運転者が携行している運行指示書にも、変更の内容を記載させる

通達は、これに加えて、運転者に指示を行った日時と運行管理者の氏名も、運行指示書とその写しに記載させるとしています。運転者の側にも、運行指示書を乗務中に携行し、記載事項に変更が生じたときは携行している運行指示書に変更の内容を記載することが、遵守事項として定められています(第17条)。運行指示書とその写しは、運行の終了の日から一年間保存します(第9条の3第4項)。

ここで、配車ソフトの通知機能を使っている会社は注意が必要です。通達によれば、「その他の方法」とは、携帯電話、業務無線などにより運転者等と直接対話できるものをいい、電子メールやFAXのような一方的な連絡方法は該当しません。第9条の3第2項・第3項の「その他の方法」の解釈は、第7条第1項から第3項の「その他の方法」の解釈を準用するとされています。読み方としては、運行指示書がある運行の変更を、画面への配信やメールだけで済ませると、この指示にならない可能性があります。個別の適否は、運輸支局や専門家に確認してください。

分岐3:運行指示書が要らない運行でも、変更で要るようになる場合がある

出発時に運行指示書がない運行でも、運行の途中で、第7条第3項の業務を行わせることになった場合は、その業務以後の運行について運行指示書を作成し、電話その他の方法で適切に指示しなければなりません(第9条の3第3項)。運転者は営業所を出発するときに運行指示書を携行していないため、運行管理者が新たに作成した運行指示書と、それによる指示の内容を、運転者が業務の記録に記録します。業務の記録の項目として、規則も、この指示があった場合のその内容を挙げています(第8条第1項)。通達は、この場合も、指示の日時と運行管理者の氏名を、運行指示書と業務の記録に記載させるとしています。また、営業所には作成した運行指示書を備え置き、運行の終了後は業務の記録と運行指示書を営業所で保存します。

架空の例で確かめます。二日にわたる運行で、一日目は営業所で対面の乗務前点呼を受けて出発し、二日目の朝は目的地から電話で乗務前点呼を受け、夕方に営業所へ戻って対面の乗務後点呼を受ける予定でした。ところが荷主の都合で二日目の荷卸し先が遠方に変わり、営業所へ戻れなくなったため、二日目は、乗務前点呼も乗務後点呼も電話などで受ける乗務になりました。通達の別紙は、これとよく似た図で、変更後の乗務に業務の途中の点呼が必要になるとしています。配車表上は「荷卸し先を変更」の一行で済みますが、記録の側では、運行指示書の作成、電話などによる指示、運転者による業務の記録への記載、業務の途中の点呼という、四つの動きが加わります。

分岐4:どちらでもない通常の運行で、変更が出たとき

通常の運行について、変更の内容を書き留める専用の帳票を定めた条文は、確認した範囲では見当たりません。だからこそ、変更が出たタイミングごとに、残す場所を自社で決めておく必要があります。

乗務前に決まった変更は、乗務前点呼で運転者に伝えます。規則は、点呼で運行の安全を確保するために必要な指示を与えるとし(第7条第1項)、指示の内容を点呼の記録に残すことを求めています(第7条第5項)。通達が示す業務前点呼の記録の項目にも、指示事項があります。運転者や車両が入れ替わったなら、点呼を受けた運転者の氏名や車両の識別表示も、入れ替え後のものを記録することになります。

運行中に決まった変更は、乗務前点呼の場では伝えられません。第7条第3項の業務の途中の点呼(分岐1・3)に当たる運行は別ですが、通常の運行の運行中の連絡は、点呼の記録欄に書いて済ませず、点呼の記録とは別に、自社の変更の記録へ残す方法があります。そのうえで、残す場所を三つ決めます。

  • 連絡の記録:いつ、誰が、誰に、何を伝えたかを、社内の変更の記録に残す
  • 業務の記録:変わった経過地点や日時を、運転者の記録に反映する。事故や著しい運行の遅延などが背景にあるなら、その概要と原因も記録の対象になる(第8条第1項)
  • 乗務後点呼:運行の状況について報告を求める場で(第7条第2項)、運行中の変更を確認する

変更の種類ごとに、ずれやすい記録の項目

配車の変更の種類によって、ずれる記録の項目が違います。条文の記録事項と対応させると、次のとおりです。

変更の種類点呼の記録で変わる項目業務の記録で変わる項目
運転者の入れ替え点呼を受けた運転者等の氏名。入れ替え後の運転者に乗務前点呼が必要になる業務は運転者等ごとに記録するため、記録の主語が変わる
車両の入れ替え事業用自動車の識別表示事業用自動車の識別表示
出発や帰着の時刻が動く点呼の日時業務の開始及び終了の地点と日時
届け先の追加や順序の入れ替え指示の内容主な経過地点、業務に従事した距離
途中で運転者を交替する交替して乗務する運転者の点呼業務を交替した場合の地点と日時
荷主の都合による待機、著しい遅延乗務後点呼で、運行の状況として報告を受ける荷主の都合で待機した場合の記録事項(通達は、待機時間が30分未満の場合は記録を省略して差し支えないとしています)、著しい運行の遅延などの概要と原因

運行指示書がある運行では、運転者の入れ替えは、運行指示書の乗務員等の氏名(第9条の3第1項第2号)の項目と食い違います。車両は第1項各号に項目として挙がっていないため、自社の運行指示書に車両を載せているかで扱いが変わります。第9条の3第2項が変更の記載を求めるのは第1号と第3号の事項ですが、通達は、運行指示書と異なる運行は原則として運行管理者の指示によって行わせるとしています。氏名や車両だけが変わる場合の扱いは、条文からは読み取りにくいため、運輸支局などに確認し、結果を規程に書いておくと迷いません。

「決める・伝える・残す」を、変更ごとの一件記録にする

法定の記録とは別に、社内で変更の一件記録を持つと、あとで点呼簿、業務の記録、運行指示書と突き合わせやすくなります。記録の項目の例は次のとおりです。

  • 変更の日時と、変更前から変更後への内容(運転者、車両、届け先、時刻)
  • 変更の理由(欠車、荷主の都合、渋滞など)
  • 案を作った人と、確定した人
  • 運転者へ伝えた人、手段(対面、電話など、画面への配信など)、伝えた時刻、運転者が受け取ったことの確認
  • その運行が運行指示書の対象か
  • 反映した記録(点呼の記録、業務の記録、運行指示書の別)

のちに記録同士が合わなくなったときの切り分けは、運行記録計・点呼記録・日報・勤怠が合わないときで扱っています。この一件記録は、時刻の差が、変更によるものか入力の誤りかを判別する手がかりになります。

配車ソフトやAIの再計算案を使うときの判断条件

AIや配車ソフトが再計算した配車は、運行管理者が確定する運用にしておくと、案と確定を区別できます。案の作成と、運行管理者の指示を別の行為として扱うかどうかは、自社の規程で決める部分です。運用の定着の面では、記録のやり方を変えるときの運転者への説明の順序をドライバーに記録のやり方を変えてもらう前にで扱っています。

使う側が、導入前に確かめる判断条件は次の五つです。製品の優劣ではなく、この記事の三つの切り分けに当てはめた確認です。

  • 画面の「変更」が、案の更新なのか、確定なのか。確定した人と時刻が残るか
  • 運転者への配信は、運行指示書がある運行で求められる、直接対話できる方法に当たるか。画面への配信やメールだけで足りるとは限らない
  • 変更が、点呼の記録、業務の記録、運行指示書のどの項目に自動で入り、どの項目は別に入力するのか
  • 誰が、いつ、何を変えたかの履歴が残るか
  • 運行管理者が不在の日の、確定者は誰か

当社の運送向けの支援について

当社の公開ページでは、配車ソフトを入れていても現場で詰まりやすい点として、欠車、渋滞、荷主都合の変更、当日の追加、受付の遅れといった予定が崩れた瞬間の再構築と、判断の理由を説明できること、連絡を挙げています。また、運送の監査対応の公開ページでは、点呼、日報、日常点検、勤怠などの必要記録の未入力の検知、時刻や休憩、運行実態、日報、勤怠の整合のチェック、誰がいつまでに何を直すかのタスク化を案内しています。法令判断や行政対応の最終判断はお客様ご自身に行っていただき、必要に応じて専門家と連携する前提です。

配車の公開ページは配車業務の自動化・属人化解消のページ、記録の運用の公開ページは運送の監査対応をAIで仕組み化|点呼・日報・運行管理で説明しています。運行管理者の業務全体は運行管理者の役割と毎日やることをご覧ください。

確認に使った原文

  • 貨物自動車運送事業輸送安全規則(e-Gov法令検索。第2条の7、第3条、第7条、第8条、第9条の3、第17条、第20条を確認)
  • 国土交通省「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」(最終改正 令和8年6月26日の版。第7条、第8条、第9条の3と、別紙2を確認)

通達は改正が続きます。最新の版と、自社のやり方が規定に合うかの個別の判断は、運輸支局や専門家に確認してください。

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