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運行記録計・点呼記録・日報・勤怠が合わないとき:矛盾の見つけ方と、原因を切り分ける順序

AI(DX AX)

同じ日の同じ運行なのに、点呼記録の時刻、日報の出庫時刻、運行記録計の記録上の開始時刻、勤怠の始業がそろわない。運行管理の現場では、こうした場面に出会うことがあります。このとき、時刻が違うことをすべて誤りとして直させると、記録の意味を取り違えたまま整えてしまいます。この記事は、運送会社の運行管理者が、同じ運行についての4つの記録が合わないときに、どれをどれと突き合わせ、どの順で原因を調べるかを整理したものです。誰かの不正の有無や、労働時間が基準に合っているかの判断は、この記事では扱いません。

運行管理者の業務全体は運行管理者の役割と毎日やることで扱っています。ここでは、記録同士の突き合わせに絞ります。

4つの記録は、別のものを記録している

貨物自動車運送事業輸送安全規則は、点呼を行ったときに、点呼の日時や方法、報告・確認・指示の内容などを運転者等ごとに記録し、その記録を一年間保存することを定めています(第7条第5項)。運転者等の業務の記録には、業務の開始と終了の地点・日時、休憩や睡眠の地点・日時などがあり、これも一年間の保存が定められています(第8条第1項)。運行記録計で記録した事項は、運転者等ごとの記録に代えることができ、その場合は運行記録計に記録されない事項を付記させることとされています(第8条第2項)。

運行記録計については、対象となる事業用自動車の瞬間速度、運行距離、運行時間を記録し、その記録を一年間保存することが定められています。対象となる事業者の区分と車両は条文で決まっているため、自社が当たるかは条文で確認してください(第9条)。運行管理者の業務としても、点呼とその記録の保存、運転者等の業務の記録の保存、運行記録計の管理と記録の保存が、それぞれ挙げられています(第20条)。つまり、この3つの記録は、同じ運行管理者の業務に並んでいます。勤怠は、これらとは別に、社内の定めに沿って付ける記録です。この記事では、法令上の記録項目としては扱いません。

記録残すもの時刻が指しているもの主な作り手
点呼記録点呼の日時・方法、報告・確認・指示の内容点呼を行った時刻。運行の始まりや終わりの時刻そのものではない点呼を行う側と受ける運転者
運行記録計速度・距離・時間機器が記録した運行の時間帯(記録の起点・終点は機種や設定により異なるため、自社機器の仕様で確認する)。基準は機器の時計機器が自動で記録
日報(業務の記録)開始・終了の地点と日時、経過地点、休憩など運転者が申告した、業務の開始・終了と休憩運転者
勤怠始業・終業、休憩など、社内の定めに沿った時刻打刻や申告の時刻。何を始業とするかは会社の定めによる運転者の打刻、または管理者の入力

指している時刻の意味が違うため、時刻が違うこと自体は、矛盾とは限りません。見るべきは、差の大きさよりも、差の「向き」と「理由が説明できるか」です。

矛盾は2種類に分ける:説明のつく差と、説明のつかない差

乗務前の点呼は、業務に従事しようとする運転者に行うものとされ、乗務後の点呼は、業務を終えた運転者に行うものとされています(第7条第1項・第2項)。この条文の組み立てから、乗務前の点呼は運行の開始より前に、乗務後の点呼は運行の終了より後に来るはずです。これを手がかりにすると、時刻の前後関係で、差を2種類に分けられます。

次の表は、時刻の並べ方を示すための架空の例です。順序の置き方は自社の運用に合わせて決めてください。

記録乗務前側乗務後側前後関係
勤怠の打刻始業 6:00終業 19:30点呼や運行を包む
点呼記録乗務前 6:10乗務後 18:40運行の外側
日報出庫 6:30帰庫 18:20運行の内側
運行記録計記録開始 6:35記録終了 18:15いちばん内側

この例では、外側から内側へ、順序が入れ替わっていません。なお、運行記録計の記録開始・記録終了が何の時点(エンジン始動、乗務員カードの挿入など)を指すかは機種や設定で異なりうるため、順序を判定する前に、自社機器の仕様を確認してください。点呼から出庫までの間や、帰庫から終業打刻までの間に差があっても、準備、日報の記入、洗車や片付けなど、別の作業が挟まっていれば、説明がつきます。

一方、運行記録計の記録開始が 6:05 で、乗務前の点呼が 6:10 のように、順序が逆転している場合は、説明のつかない差です。ただし、すぐに誤りや不正と決めるのではなく、次の「原因の切り分け」に回します。

突き合わせの手順

  1. 1人・1日・1運行に絞る。日をまたぐ運行は、どの日の運行として扱うかを先に決めます。
  2. 4つの記録の時刻を、1つの表に並べる。記録ごとに、時刻が何を指しているかを併記します。
  3. 軸にする記録を決める。機器が自動で残す運行記録計を軸に、日報、点呼、勤怠の順に当てる進め方があります。人が入力する記録より、時刻の付き方が一定だからです。ただし、機器の時計のずれや取り込み漏れもあり得るため、軸は「疑う順序の出発点」であって、正しさの決定ではありません。運行記録計の対象外の車両では、日報を軸にします。
  4. 組み合わせごとに、見る点を決める(下の表)。
  5. 差の向き(前か後か)と大きさを、表に書き出す。どこまでの差を問題にしないかは、自社で決めておきます。
  6. 説明のつかない差だけを、原因の切り分けに回す。
突き合わせ見る点
運行記録計 × 日報開始・終了の時刻、運行した距離、休憩の位置が、日報の記載と合うか
日報 × 点呼乗務前の点呼が出庫より前、乗務後の点呼が帰庫より後か。車両と運転者の表示が同じか
運行の記録 × 勤怠勤怠の始業から終業までが、運行の開始から終了までを包んでいるか
点呼 × 勤怠点呼の時刻が、始業と終業の間に入っているか

原因を切り分ける順序

切り分けは、記録を探せば確かめられるものから先に行い、人への聞き取りは最後にします。順序を決めておくと、担当者によって調べ方が変わることを防ぎやすくなります。

順疑うこと例確認先
1記録の漏れ・取り込み漏れ運行記録計のデータが取り込まれていない、日報や点呼記録が未入力、打刻漏れ各記録の保存先、取り込みの履歴
2時刻の基準の違い点呼の時刻と出発の時刻の違い、運行記録計の記録の起点・終点の違い、機器の時計のずれ、日付をまたぐ運行の日付の置き方、打刻の端数の扱い社内の定め、機器の設定
3入力のタイミングその場で入力したか、あとからまとめて入力したか、転記が入っていないか入力した日時の履歴、入力した人
4通常と違う運行直行直帰、乗務員の交替、車両の乗り換え、機器の不調で代わりの記録を使った日、運行の途中で点呼を行った日(途中の点呼は順序の逆転ではない)運行の指示、配車の記録
5ここまでで説明がつかない差順序が逆転したまま残っている運転者本人や関係者への事実確認

5番に残った差が、誤記なのか、そうでないのかをこの記事では判断しません。事実確認の進め方は自社の規程に沿って決め、必要な場合は社会保険労務士など専門家にも相談してください。労働時間が基準に合っているかの判断も同様に、別に確認します。

直したら、分類と理由を残す

記録を直すときは、元の値を消さず、いつ・誰が・何を・なぜ直したかを残します。理由には、上の表の1から5の分類を付けます。同じ分類が繰り返される場合は、記録を直すだけでなく、運用を直す対象です。たとえば入力のタイミングが原因なら、その場で入力する場面を決め直します。

人の目で行う場合と、仕組みに寄せる場合

判断条件の例です。

人の目で表を見る進め方が向いている場合:

  • 営業所が少なく、記録の形式がそろっている
  • 例外の運行が少なく、差の理由を担当者が把握できている

仕組みで検知する進め方を検討したほうがよい場合:

  • 営業所ごとに記録の形式や時刻の基準が違う
  • 毎日の突き合わせが、運行管理者の手元で追いつかない
  • 同じ分類の差が繰り返され、ルール化できそうな見当が付いている

うまくいかないパターン

  • 記録ごとに時刻の意味が違うことを無視して、すべてを同じ時刻に直させる
  • 軸にした記録だけを正しいとみなし、機器の時計のずれや取り込み漏れを確かめない
  • 差の大きさを書かず、「だいたい合っている」で済ませる
  • 原因の分類をせず、直した数だけを数える
  • 突き合わせを月末にまとめて行い、運転者が当日の状況を思い出せない
  • 見つけた人が、その場で誰の責めかを決めてしまう

当社の運送向けの支援について

当社は運送会社向けに、時刻・休憩・拘束・運行実態・日報・勤怠の整合を毎日チェックし、見つけた矛盾について誰がいつまでに何を直すかをタスクとして出す運用を設計しています。法令判断や行政対応の最終判断はお客様に行っていただき、必要に応じて専門家と連携する前提です。

具体的な内容は運送の監査対応をAIで仕組み化|点呼・日報・運行管理に、頼む前の条件は運送の監査対応、委託先の選び方にまとめています。自社の記録の現状を先に整理したい方は、運送会社の記録運用を見直す前に、まず自社の現状を棚卸しする5つの視点もご覧ください。

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