デザイン・WEB・
システム/アプリ開発
日本伝統文化事業

運転者への指導・監督が年間計画どおりに進んでいるかは、誰がいつ確かめるのか

AI(DX AX)

教育記録簿の様式は用意した。年間の予定も立てた。それでも、年の半ばに「予定した項目のうち実施できたのはどれか」「まだ受けていない運転者は誰か」と聞かれると、すぐには答えられない状態になりやすいものです。予定表と記録簿は別の紙で、予定表の「実施日」の欄が埋まっていても、その日に乗務で出られなかった運転者の分まで済んだことにはならないからです。

この記事は、一般貨物自動車運送事業者等の経営者と運行管理者に向けて、年間の予定に対する実施と未実施を点検する流れを、五つの表(そのまま写して使える骨組み)に分けて示したものです。先に、省令・告示・実施マニュアルのどこまでが書かれていて、どこからが自社で決める部分なのかを並べます。指導の内容そのもの(各項目で何を教えるか、実技をどう行うか)と、個別の運転者や営業所について法令に合っているかの判断は、この記事では扱いません。旅客自動車運送事業と貨物軽自動車運送事業は、定めが別にあるため対象にしていません。

「年間計画どおり」と言うとき、原文が定めているのは何か

貨物自動車運送事業輸送安全規則の第10条第1項は、事業者が、告示に定めるところにより運転者に適切な指導及び監督をすること、その日時、場所及び内容並びに指導及び監督を行った者及び受けた者を記録し、営業所で3年間保存することを定めています。この条文の本文に、「毎年」「計画」の語は出てきません。

「毎年」と「計画」は、告示に出てきます。国土交通省の告示(平成13年国土交通省告示第1366号)の第一章は、2に掲げる内容について運転者に対する指導及び監督を毎年実施し、その日時、場所及び内容並びに指導及び監督を行った者及び受けた者を記録して、営業所で3年間保存するとしています。2に掲げる内容は、(1)から(12)までの12の項目です。配慮すべき事項の一つとして、継続的、計画的に実施するための基本的な計画を作成し、計画的かつ体系的に実施することが必要だとも書かれています(3の(2))。

国土交通省の実施マニュアル(本編、トラック事業者編)は、さらに具体的です。運転者ごとの重点項目を定めること、計画(年間、月間、週間など)を立てること、指導計画が指針の内容を全て網羅していることを確認すること、そして、体系的かつ継続的に指導及び監督を実施するための計画を作成し、これを確実に実施することが必要だと示しています。

進み具合の確認に近い記述もあります。告示の第一章は、常に運転者の習得の程度を把握しながら指導及び監督を進めるよう配慮することが必要だとし(3の(3))、実施マニュアル(本編)の第2章Ⅱ(5)は、運転者に対して網羅的な指導が実施されているか、運転者が指導の内容を理解しているかを確認することが重要だとしたうえで、指導及び監督の内容を記録して保存し、運転者が継続的に指導及び監督を受けることが確認できるようにするよう示しています。ただし、これらにも、誰がどの頻度で確認するかは書かれていません。安全マネジメント全般の確認については、別に告示第1090号の定めがあり、次の表で扱います。

では、計画に対する進み具合を誰がどの頻度で見るのか、欠席した運転者をどうするのか。次の表は、「年間計画どおり」を支える事項が、確認した原文のどこに書かれ、どこに書かれていないかを並べたものです。「確認した原文」とは、本記事の末尾に挙げた六つ(省令、告示第1366号、通達、実施マニュアル本編、従業員向けの措置の告示第1092号、安全マネジメントの指針の告示第1090号)を指します。

事項確認した原文の記載(要旨)自社で決める部分
実施の頻度告示は「毎年実施」と書く。実施マニュアル(本編)は、計画の例に添えて、定期的に計画を立て、指導・監督の内容を網羅的に実施していくことが必要、と書く「年」の区切り(暦年か年度か)。確認した原文に区切りの定めは見当たらない
計画告示は基本的な計画の作成を求め、実施マニュアル(本編)は年間・月間・週間などの計画を立てるとする。従業員向けの措置の告示第1092号は、教育及び研修について、対象となる従業員に応じた具体的な計画を作成し、その効果の確認を行うことが望ましいとする(3の(2)②)計画表の様式、どの項目をどの月に置くか
対象国土交通省の案内ページは、一般的な指導及び監督の対象者を「全運転者」としている名簿に載せる範囲と、名簿を更新する人
記録省令は、日時、場所、内容、行った者、受けた者。通達は、具体的に記録し、使用した資料の写し等を添付するよう指導するとし、書面でも電磁的方法でもよいとする記録簿の様式
保存営業所で3年間保管場所、年ごとの綴じ方
誰が行うか第20条第1項第14号は、指導、監督及び特別な指導を行うことと、その記録及び保存を運行管理者の業務に挙げる実施者と記録者が複数のときの割り振り
運転者ごとに指導を受けたことの確認告示は、常に運転者の習得の程度を把握しながら指導及び監督を進めるよう配慮することを求める。実施マニュアル(本編)は、網羅的な指導が実施されているかの確認と、運転者が継続的に指導及び監督を受けることが確認できるようにすることを示す。同じ箇所は、運転者が指導の内容をどの程度理解しているかを常に監督し、必要に応じて更なる指導を行うことも挙げるが、理解度の監督についての記述で、頻度や人の定めではない確認の方法。本記事は、記録簿の「受けた者」から運転者別の表を作る方法を提案する
年間計画に対する進み具合の点検(頻度、点検する人)運転者への指導・監督の年間計画の進み具合を、誰がどの頻度で点検するかを定めた記載は、確認した範囲では見当たらない。隣接する記述として、安全マネジメントの告示第1090号は、経営の責任者が輸送の安全の確保のための業務の実施及び管理の状況を絶えず確認し必要な改善を行うこと(第3条第3号)、過去の計画の実施状況を踏まえて必要に応じて輸送の安全に関する計画を見直すこと(第7条第2項)、輸送の安全に関する計画に基づいて研修等を着実に実施すること(第12条)、少なくとも一年に一回以上、輸送の安全に関するチェックを行うこと(第13条)、チェックの結果、改善すべき事項があれば是正措置又は予防措置を講じること(第14条第1項)を挙げる。これらは輸送の安全に関する計画・業務全般についての定めで、運転者ごとの指導の進み具合を指すとは書かれていない。告示第1092号の「効果の確認」も、教育及び研修の効果についての記述運転者への指導の年間計画の進み具合を見る頻度と、見る人。告示第1090号の経営の責任者による確認や年一回のチェックと、どうつなぐか
欠席した運転者の扱い確認した範囲に記載なし(事業者団体の様式に例がある)振替の期限、方法、記録のしかた
項目の省略告示第一章の確認範囲に、特定の項目を省略できるとする文言は見当たらない該当なしとする項目があるなら、その理由と確認先

最後の三行のうち、とくに点検と欠席時の扱いが、この記事の中心です。確認した省令の第10条、告示第1366号、通達、実施マニュアル本編、告示第1092号には、運転者への指導・監督の年間計画に対する進み具合を点検する頻度と人、欠席時の扱いは、確認した範囲では書かれていませんでした。書かれていないのは、確認した範囲で定めが見当たらないというだけで、不要という意味ではありません。告示第1090号は、安全マネジメント全般について、経営の責任者による確認(第3条第3号)や、安全マネジメントを担当する従業員の配置など責任ある組織体制の構築(第4条)、年一回以上のチェック(第13条)を挙げています。これらは輸送の安全に関する計画・業務全般についての定めで、運転者ごとの指導の進み具合を誰がどの頻度で見るかまでは、確認した原文に書かれていません。運転者ごとの進み具合を見る頻度と人は、書かれていない部分として自社で決めることになり、年一回のチェックなどとどうつなぐか(別に月次で見るか、それらの材料にするか)も、あわせて決める部分です。なお、運輸安全マネジメントに関する通達(安全マネジメント等実施通達)や手引きなど、確認していない資料もあります。点検の頻度、点検する人、欠席時の扱いを決めていない会社は、記録簿が揃っていても「計画どおり」と説明する根拠が自社の中にありません。以降の節は、この三つを決めるための骨組みです。個別の運用が規定に合うかは、所管の運輸支局や専門家に確認してください。

予定は項目で、実施は運転者で見る:二つの表に分ける

予定表は、項目の側から作ります。「項目3は5月」「項目4は6月」と置くので、見えるのは項目ごとの実施日です。一方、省令が記録に残すよう求めているのは「受けた者」で、告示が毎年実施の相手とするのは運転者です。項目の実施日が入っていても、その記録簿の「受けた者」に載っていない運転者が残りうる、というのはこのためです。

そこで、見る表を二つに分けます。一つは項目の側から見る年間の予定表、もう一つは運転者の側から見る進み具合表です。後者は、前者の元になる記録簿の「受けた者」の欄から作ります。実施マニュアル(本編)の第2章Ⅱ(5)が示す、運転者が継続的に指導及び監督を受けることが確認できる状態は、この運転者別の表で持つことになります。ただし、表の持ち方や確認の頻度は原文に書かれていないため、自社で決める部分です。事業者団体の様式例にも、予定日と実施日を並べて持つ年間計画表と、出席者氏名の欄を持つ記録様式があります。つまり、確認した事業者団体の様式例の範囲では、予定表の様式を探す手間はほとんどかかりません。足りないのは、二つの表をつなぐ手順と、それを見る人です。

骨組み1:項目別の年間予定表

項目名は略称です。原文の名称は、告示第一章の2で確認してください。

項目(略称)予定月実施日実施者使用資料記録簿の保管場所該当なしとする場合の理由と確認先
1 運転する場合の心構え
2 遵守すべき基本的事項
3 構造上の特性
4 貨物の正しい積載方法
5 過積載の危険性
6 危険物を運搬する場合
7 運行の経路と道路・交通の状況
8 危険の予測と回避、緊急時の対応
9 運転適性に応じた安全運転
10 生理的・心理的要因と対処
11 健康管理の重要性
12 安全性向上の装置を備える車の運転方法

最後の列は、団体の資料で扱いが分かれているために置いています。東京都貨物自動車運送適正化事業実施機関の資料(様式は平成の版)は、危険物を運ばない事業者は項目6を、運転支援装置を備える車がない事業者は項目12を省略できると書いています。長野県貨物自動車運送適正化事業実施機関の資料は、告示による12項目の全項目を年に1回以上実施するとしています。告示第一章は、項目6を「危険物を運搬する場合においては」、項目12を「安全性の向上を図るための装置を備える事業用自動車を運行する場合においては」という条件付きの文で書いています。そのうえで、省略できるとする文言は確認範囲に見当たらないため、「該当なし」にするなら、理由を書き、運輸支局に確認したうえで決めるのが安全です。

運転者ごとの「未了」を拾う:記録簿の「受けた者」を名簿から引く

運転者別の進み具合表は、次の四つのステップで作ります。

  • ステップ1:運転者の名簿を、営業所ごとに一枚持つ。氏名、選任年月日、所属、休職などの備考を入れる。
  • ステップ2:項目の記録簿が上がるたびに、その「受けた者」の欄を見て、名簿の該当する運転者に、受けた項目と日付を写す。
  • ステップ3:月に一度、名簿を端から見て、受けた項目の欄が埋まっていない運転者と、その項目を「未了」の欄に書く。
  • ステップ4:未了の運転者ごとに、振替の予定日を入れる。振替を実施したら、実施日を入れ、その記録簿の置き場所も控える。

骨組み2:運転者別の進み具合表

次の表の運転者名と項目の番号は、書き方を示すための架空の例です。

運転者選任年月日受けた項目未了の項目振替の予定日振替の実施日確認した人と確認日
運転者A(架空)(記入)1、2、3、4、5なし
運転者B(架空)(記入)1、2、4、53(記入)
運転者C(架空)(記入)1、2、34、5(記入)

運転者Bは、項目3の実施日には予定表の上で「済み」と書かれていても、その記録簿の「受けた者」に載っていないため、この表で未了として拾えます。予定表だけでは見えなかった差が、ここで初めて見えます。

欠席・未実施の扱いは、確認した原文に見当たらない。自社で決める

省令第10条、告示第1366号の第一章、告示第1092号、告示第1090号、通達第10条の解釈、実施マニュアルの本編のいずれにも、集合の指導に出られなかった運転者の扱いを書いた箇所は、確認した範囲では見つかりませんでした。一方で、事業者団体の様式や資料には、扱いの例があります。

  • 東京都貨物自動車運送適正化事業実施機関の様式例:出席者氏名の欄に「欠席者は横にフォローアップ日を記載」と書き、実施日当日に欠席した運転者には後日フォローアップの形で実施して、実施日と実施時間を記載する。または別途教育記録簿を作成する、としている。
  • 長野県貨物自動車運送適正化事業実施機関の資料:業務上の都合などで集合教育に参加できなかった運転者には、後日、複数名あるいは個別に実施(フォロー)し、同様に記録・保存する、としている。
  • 神奈川県トラック協会の案内ページ:教育実施日に参加できなかった運転者には、必ず後日実施し、その日時等も記録・保存するよう求めている。
  • 熊本県トラック協会のサイトに載る記録様式:当日不在の場合は、帰庫後に関係資料を配布のうえ、説明し、捺印(またはサイン)させる、としている。

東京と神奈川は、後日に実施することに加えて、その日時の記録(東京は実施日と実施時間、神奈川は日時等)を挙げています。長野は、後日に実施したうえで「同様に記録・保存」するとしています。熊本の様式は、資料の配布と説明、本人の捺印(またはサイン)を挙げています。資料を渡しただけで足りるかどうかを書いた記述は、確認した範囲では見当たりませんでした。これらは法令の文言ではなく団体の運用の例なので、自社の扱いとして、次の骨組みのように場面ごとに決めておきます。

骨組み3:欠席・未実施の場面ごとの決めごと

場面名簿での拾い方自社で決めておくこと
乗務や休みで、実施日に受けられなかった記録簿の「受けた者」に載らない運転者を拾う振替の期限、方法(個別か少人数か)、振替の記録を同じ記録簿に追記するか別に作るか
休職や長期の不在で、年内に受けられない名簿の備考欄から拾う年内に済ませる扱いにするか、復帰後の予定とするか。確認した原文に扱いの記載はない
年の途中で運転者に選任された選任年月日から拾う初任運転者は、原則として初めてトラックの運転者に選任する前に、特別な内容で指導をする必要がある、と実施マニュアル(本編)は書く。告示の第二章は、その特別な指導の内容の一つとして、第一章2に掲げる内容(12項目)についての指導を挙げ、15時間以上実施するとしている(2の(2)①)。年間予定の12項目の実施との重ね方(特別な指導を12項目の実施に数えるか)と、入社後の年間予定への組み入れ方は、確認した原文に記載がない
年の途中で退職・転籍した名簿の更新で拾う運転者でなくなった場合、運転者等台帳に年月日と理由を記載して3年間保存する(第9条の5第2項)。未了のまま退職したときの名簿と記録の扱いは自社で決める

月に一度の点検は、実施した人とは別の人が見る形にしておく

省令の第20条第1項第14号は、指導、監督及び特別な指導を行うことと、その記録及び保存を、運行管理者の業務に挙げています。実施と記録は、運行管理者の仕事として条文に書かれているということです。ところが、運転者への指導・監督の年間計画の進み具合を点検する人は、確認した範囲の原文に出てきません。安全マネジメント全般では、告示第1090号が、経営の責任者が輸送の安全の確保のための業務の実施及び管理の状況を絶えず確認することを定めています(第3条第3号)。これは業務全般についての定めで、運転者ごとの指導の進み具合を誰が見るかを指すとは書かれていません。

ここからは自社で決める提案です。実施して記録した本人が自分の記録を見ても、抜けに気づきにくいことがあるため、月に一度、別の人(営業所長、経営者、別の運行管理者など)が、予定表・名簿・記録簿を並べて見る形にしておくと、点検が実施の延長で終わりません。

骨組み4:月次点検チェック表

確認すること見るもの見つかったときの動き
今月が予定月の項目に、実施日が入っているか項目別の年間予定表空なら、実施予定日を決め直し、延びた理由を一行残す
実施日の記録簿に、日時、場所、内容、行った者、受けた者が揃っているか記録簿(省令の記録事項)欠けた欄は、思い出して埋めたものと分かるよう、埋めた日を書き添える
使用した資料の写し等が付いているか記録簿の綴じ(通達の記載)使った資料を特定して、添付する
「受けた者」に載っていない運転者がいないか名簿と記録簿運転者別の進み具合表の「未了」に書き、振替の予定日を入れる
前月までの振替が、予定日に済んでいるか運転者別の進み具合表済んでいなければ、新しい予定日と、延びた理由を入れる
名簿に、入社・退職・異動・休職の変更が反映されているか名簿と運転者等台帳反映してから、上の確認をやり直す
特別な指導の対象になる運転者が出ていないか運転者等台帳(次の節)対象者を、特別な指導の予定として別に起こす
残りの月で、残りの項目が収まるか項目別の年間予定表予定を組み替える。内容の見直しが要る項目は、そのときに直す

点検した人と日付は、運転者別の進み具合表の最後の列に入れます。点検したこと自体も、あとから説明できる記録になります。

特別な指導の対象者は、台帳の日付から拾う

特別な指導は、年間の12項目とは別に記録します。初任運転者の特別な指導の内容には12項目の内容が含まれますが、記録の置き場所は別です(後述)。ここでは、対象者をどう拾うかだけを扱います。実施の時期の数え方や、適性診断との関係は、適性診断の受診漏れを防ぐ記事で整理しています。

省令の第10条第2項は、特別な指導を行う対象として、死者又は負傷者が生じた事故を引き起こした者、運転者として新たに雇い入れた者、高齢者(65才以上の者)を挙げています。運転者等台帳には、運転者の氏名・生年月日、雇入れの年月日と運転者等に選任された年月日、事故を引き起こした場合のその概要、そして第10条第2項に基づく指導の実施と適性診断の受診の状況を記載することが、省令で定められています(第9条の5第1項)。対象者は、この台帳の項目から拾えます。

骨組み5:特別な指導の対象者を拾う元

区分省令の定め(第10条第2項の要旨)拾うきっかけになる台帳の項目
事故を引き起こした者死者又は負傷者が生じた事故を引き起こした者事故の概要(第9条の5第1項第6号)。拾うきっかけであり、対象の範囲は下の段落のとおり告示と通達で定められている
運転者として新たに雇い入れた者運転者として新たに雇い入れた者雇入れの年月日、選任された年月日(同項第4号)
高齢者65才以上の者生年月日(同項第3号)

ただし、省令の「事故を引き起こした者」の範囲は、告示と通達でさらに定められています。告示の第二章は、特別な指導の対象となる「事故惹起運転者」を、死者又は重傷者を生じた交通事故を引き起こした運転者と、軽傷者を生じた交通事故を引き起こし、かつ当該事故前の3年間に交通事故を引き起こしたことがある運転者としています(2の(1))。通達の第10条の解釈4.は、この「事故を引き起こした者」の解釈に、第9条の5の解釈1.(原則として、事故の発生に最も大きな責任を有する場合、いわゆる第1当事者である場合)を準用するとしています。台帳に事故の概要が載った運転者が、すべて対象になるわけではありません。初任運転者にも、告示は、初めて乗務する前の3年間に他の事業者で運転者として常時選任されたことがある者を除く、という範囲を置いています(2の(2))。範囲の読み方は前述の適性診断の記事で整理していますので、個別の該当の判断は、そちらも参照しつつ、運輸支局や専門家に確認してください。

告示の第二章は、特別な指導を実施したときは、実施した年月日と指導の具体的内容を運転者等台帳に記載するか、年月日を台帳に記載したうえで具体的内容を記録した書面を台帳に添付するとしています。記録の置き場所が12項目の記録簿とは違うので、年間の予定表に特別な指導を混ぜないでください。混ぜると、「受けた者」の欄が、どちらの指導を受けたのか分からなくなります。実施マニュアル(本編)も、特定の運転者への指導について、指導のための計画を作成するよう示しています。

点呼や朝礼での声かけは、年間計画の「実施」に数えるか

実施マニュアル(本編)は、第2章で、計画に基づく体系的な指導及び監督(Ⅱ)と、点呼等における日常的な指導及び監督(Ⅲ)を、別の項目として並べています。点呼時に行った指導及び監督の内容も、記録を保存し、運転者に行った内容が確認できるようにするよう書かれています(Ⅲ(3))。長野県貨物自動車運送適正化事業実施機関の資料も、計画的な月例の集合教育のほかに、日常の点呼や朝礼でも指導を行うよう書いています。

ただし、点呼での指導を12項目の実施に数えてよいかを述べた記載は、確認した範囲では見当たりませんでした。数えるかどうかは、自社で決めることになります。数えないと決めるなら、点呼の指導は別の欄に分けておくと、年間の予定表の「実施日」が何を指しているのかが、あとから説明しやすくなります。数える扱いにしたい場合は、運輸支局に確認してからにしてください。

表計算のまま続けられるかは、四つの問いで見る

五つの骨組みは、表計算で作れます。続けられるかどうかの判断条件は、次の四つの問いです。「いいえ」が増えてきたら、表の持ち方を見直す時期です。

  • 点検の日に、予定表・名簿・記録簿の三つを、点検する人が一度に開けるか
  • 入社、退職、休職、異動といった名簿の変更を、その月のうちに表へ反映できているか
  • 記録簿が上がった週のうちに、「受けた者」を運転者別の進み具合表へ写せているか
  • 振替の予定日を、書いた本人以外も見られる場所に置いているか

営業所が複数あって表が別々になっている場合や、更新が一人の記憶に頼っている場合は、四つの問いのどれかで先に詰まります。

仕組みを選ぶときは、機能の多さではなく、次の点を確かめてください。予定、名簿、記録簿の「受けた者」が同じ場所で引けるか。名簿の変更が表に反映されるか。未了の運転者の一覧がそこから出せるか。日時、場所、内容、行った者、受けた者の五つを欠けなく入れられるか。3年間の保存と、書面または電磁的方法での保存に対応できるか。実施する人と点検する人を分けて記録できるか。

当社の運送向けの支援について

当社の運送の監査対応の公開ページは、点呼、日報、日常点検、勤怠、教育、整備などの必要記録の未入力を毎日検知すること、そして、誰がいつまでに何を直すかをタスクとして出すことを案内しています。教育については、記録の未入力の検知が対象で、研修の実施や教育内容の提供を案内するものではありません。法令判断や行政対応の最終判断はお客様ご自身に行っていただき、必要に応じて専門家と連携する前提です。

本記事の骨組みのうち、予定表・名簿・記録簿をどうつなぐかは、自社の業務の流れから決める部分です。提供内容の詳細は運送の監査対応をAIで仕組み化|点呼・日報・運行管理に、運行管理者の業務全体は運行管理者の役割と毎日やることに掲載しています。

確認に使った原文

  • 貨物自動車運送事業輸送安全規則(e-Gov法令検索。第9条の5、第10条、第20条を確認)
  • 貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針(平成13年国土交通省告示第1366号。国土交通省が公表するPDFの第一章・第二章)
  • 国土交通省「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」(最終改正 令和8年6月26日の版。第9条の5と第10条の解釈を確認)
  • 国土交通省「一般的な指導及び監督の実施マニュアル 《本編:一般的な指導及び監督指針の解説》 トラック事業者編」(国土交通省の案内ページ「運転者に対する指導監督の概要」に掲載の版。第2章のⅠ(3)、Ⅱ(2)〜(5)、Ⅲ(3)を確認)
  • 平成18年国土交通省告示第1092号(貨物自動車運送事業者が従業員に対して指導及び監督を行うために講じるべき措置。国土交通省が公表するPDF)
  • 平成18年国土交通省告示第1090号(貨物自動車運送事業に係る安全マネジメントに関する指針。国土交通省が公表するPDF。第2条〜第4条、第7条、第12条〜第14条を確認)

事業者団体の様式や資料は、法令ではなく運用の例として引いています。告示や通達は改正が続くため、最新の版と、自社のやり方が規定に合うかの個別の判断は、運輸支局や専門家に確認してください。

自社の年間計画を、一枚で見られる形にしたい方へ

予定表と名簿と記録簿を、誰がいつ突き合わせるかが決まると、「計画どおり」と言える根拠が手元に残ります。

運転者への指導・監督の年間計画と実施状況を、自社の名簿・記録簿とつないで点検する流れとして整理したい方は、個別相談の予約へお進みください。(個別相談会(30分)の予約ページへ移動します)

CONTACT

お問い合わせ・資料請求