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日常点検で「要整備」が出た車は、いつ運行に戻ったのか:車両ごとの台帳を軸に

AI(DX AX)

朝の日常点検表に「要整備」の印が付いた車が、整備に回り、直ったと確かめられ、運行に戻ったのはいつか。そう聞かれたとき、答えの置き場所が日常点検表、点呼の記録、整備工場からの控えに分かれていると、一台の経過を後から並べ直すことになります。点検表を毎日書かせて回収していても、印が付いたあとの経過が車両ごとに一か所で見えていなければ、整備に回ったかどうかも、運行に戻した日も、その場で答えられません。

この記事は、運送会社の経営者、運行管理者、整備管理者に向けて、日常点検で見つかった不良が「誰に伝わり、整備に回り、完了が確かめられ、運行に戻ったか」を車両ごとの台帳で追う設計を、運用の整理としてまとめたものです。対象は、定期点検が3か月ごとになる事業用のトラックを使う貨物自動車運送事業者です。貨物軽自動車運送事業の車や白ナンバーの車、点検項目の解説、整備の技術、個別の車両を運行してよいかどうかの判断は、この記事では扱いません。

「要整備」の印のあと、国の規程例は何を決めているか

自動車運送事業の用に供するトラックは、一日一回、運行の開始前に日常点検をします。点検の結果、保安基準に適合しなくなるおそれがある状態か適合しない状態にあるときは、必要な整備をしなければならないとされています(道路運送車両法第47条の2第2項・第3項)。

その整備と運行の可否を誰が受け持つかは、整備管理者の権限として、道路運送車両法施行規則の第32条第1項に並んでいます。日常点検の結果に基づく運行の可否の決定(第2号)、点検の結果必要な整備の実施(第5号)、定期点検の実施計画と、点検の結果必要な整備の実施計画を定めること(第6号)、点検整備記録簿その他の点検及び整備に関する記録簿の管理(第7号)です。整備管理者は、これらの執行に関する基準を定める規程を作り、それに基づいて業務を行います(同条第2項)。

国土交通省は、この規程の例(事業用)を公開しています。その第13条は、整備管理者が日常点検表で結果を確認して運行の可否を決めること、車両の安全運行に支障をきたす不良箇所があったときは、直ちに運行管理者と連絡をとり、整備を行わせるなど適切な措置を講じ、整備を完了した後でなければ運行の用に供してはならないことを書いています。あくまで「例」であり、自社の規程は整備管理者が自社の実態に合わせて定めるものです。

この流れを、台帳に写し取れる単位に分けると、次のようになります。

  1. 見つける:運転者が自ら点検するか、検査係等が行った点検を確認して、日常点検表に印を付ける(輸送安全規則第17条第2号と、その解釈及び運用)。運行中に重大な故障を見つけたときは、運転者が直ちに運行を中止して報告する(同条第3号の2)
  2. 伝える:点検結果を整備管理者に報告し、不良があれば運行管理者へ連絡する。業務前の点呼では、日常点検の実施またはその確認が報告の対象になる(規程例第12条・第13条、輸送安全規則第7条第1項第3号)
  3. 決める:整備管理者が運行の可否を決める。整備管理者が不在のときは、規程例では補助者が運行の可否を決める(規程例第9条)
  4. 直す:整備を行わせる。整備工場などに委ねる場合も、通達は、点検・整備に関する規定は必ずしも事業者自身で行う旨のものではなく、部分的な委嘱を含めて結果として守らせるよう指導するとしている(解釈及び運用 第3条の3関係)
  5. 確かめて戻す:整備の完了を確かめ、運行の可否を改めて決めて、運行に戻す

5番目は、規程例の記述が途中までになっています。第13条は、運行の可否を整備管理者が決め、整備を完了した後でなければ運行の用に供してはならないとしています。第19条第1項は、点検整備の実施結果を点検整備記録簿及び日常点検表等に記入して保存・管理するとしています。一方、取得した範囲では、整備の完了をどのような方法で確かめるか(立会い、再点検、工場の控えの確認など)と、その確認を何という欄に誰が残すかまでは書かれていません。ここが、自社で決めて台帳に写す部分になります。

輸送安全規則の解釈及び運用は、IT点呼を行う場合などの規定の中で、日常点検の結果に基づく運行の可否の決定を、別の通達(国自整第216号)によって行うよう求めています。この記事では、その通達の本文までは確認していません。

「戻った日」は、既存の記録のどれにも一本では書かれていない

印が付いてから運行に戻るまでの情報は、目的の違う記録に分かれて残ります。取得した資料の範囲で、どの記録に何が載り、どこに置くとされているかを並べました。

記録載るもの置き場所と保存の定め(取得した範囲)
日常点検表点検した車両、日、結果(基準に適しているか、適していない箇所)点検した人が記録して整備管理者に報告し、整備管理者が保存・管理に努める。様式の定めはない(国土交通省「自動車の整備管理について」)。規程例は日常点検記録の保存を1年以上としている
点呼の記録業務前点呼で記録する事項として、通達が「日常点検の状況」を挙げる運転者等ごとに記録し、一年間保存(輸送安全規則第7条第5項)
点検整備記録簿点検の年月日、結果、整備の概要、整備を完了した年月日など(道路運送車両法第49条第1項)自動車に備え置く。営業所には写しまたは電子的記録を保存する(国土交通省の資料)。保存期間は記載の日から一年間(3月ごとの点検の車。自動車点検基準第4条第2項)
定期点検の実施計画点検整備の予定と、実施した旨の年月日営業所で保存する(国土交通省の資料)。計画を定めることは整備管理者の権限
臨時整備の記録規程例は、発生年月日、故障(作業)内容、車両の使用年数、走行距離、使用部品などの記録を例示規程例は、点検基準第4条第2項に定める期間以上の保存としている

この表を作るうえで、確認できなかったこともあります。取得した法令の本文(道路運送車両法、同施行規則、自動車点検基準、輸送安全規則)のうち、「日常点検」の語が出てくる条を見る限り、日常点検の結果の記録の保存期間を定めた規定は見つかりませんでした。確認した解説記事の間でも、日常点検表の保存期間の書き方は分かれています。自社が何年保存とするかは、国土交通省の規程例の記載や所管の運輸支局への確認をふまえて、自社の規程に書いておくのが安全です。

もう一つ、点検整備記録簿との関係にも注意が要ります。道路運送車両法第49条第1項は、記録簿に書く場面を「前条の規定により点検又は整備をしたとき」としており、前条は定期点検整備です。同条第2項は、特定整備をしたときの記載を別に定めています。日常点検の「要整備」を受けた整備が記録簿の記載対象になるかは、整備の内容によっても変わりうるため、取得した条文だけでは一律には言えませんでした。日常点検で出た不良の整備を、記録簿、臨時整備の記録、整備工場の控えのどれに残すかは、整備管理者と所管の運輸支局に確認して決めてください。

取得した条文と、国土交通省の規程例の日常点検表、中部運輸局の計画表の例を見る範囲では、「印が付いた日から運行に戻した日まで」を一本につなぐ欄は見当たりませんでした。だから、つなぐための台帳を自社で持つ意味があります。

台帳は、車両の行と不良の行の二枚に分ける

「車両ごとの台帳」というと、一台につき一行の表を思い浮かべがちですが、一台の車は、時期を変えて何度も不良を出します。一行に押し込むと、前回の不良の経過が消えます。そこで、台帳を二枚に分けます。

一枚目は、車両の行です。一台につき一行で、「いま運行に使える状態か」を一目で見る役割です。

  • 登録番号と、使用の本拠(営業所)
  • いまの状態:運行可、整備待ち、整備中、確認待ちのいずれか
  • 未完了の不良があるか(あれば二枚目の該当行へ)
  • 次回の定期点検の予定日と、直近の実施日
  • 点検整備記録簿の置き場所(車両に備え置き、営業所に写し、など)

二枚目は、不良の行です。「印が付いた」一件ごとに一行を起こし、運行に戻るまで開いたままにします。

欄入れる内容入れる人(自社で決める)元になる記録
見つけた日と場面日常点検、運行中、定期点検のいずれか。見つけた人運転者または検査係日常点検表、運転者からの報告
箇所と内容日常点検表で印が付いた箇所点検した人日常点検表
運行の可否の決定決めた人、決めた日時、結果整備管理者または補助者日常点検表の確認欄
整備の手配依頼先、依頼した日整備管理者側依頼の控え
整備の完了完了日、整備の概要整備管理者側整備工場の控え
完了の確認確かめた人、確かめた日整備管理者または補助者自社の規程で定めた方法
運行再開運行に戻した日、可否を改めて決めた人整備管理者または補助者日常点検表、点呼の記録
記録の置き先点検整備記録簿、臨時整備の記録など、どこに載せたか整備管理者側点検整備記録簿

「入れる人」の列は一例です。整備管理者を置く規模は、施行規則第31条の3が台数で定めており、事業用のトラックは、国土交通省の案内では5台以上の営業所ごとです。台数が小さく選任の対象にならない営業所でも、日常点検と必要な整備は使用者の義務ですから、「運行の可否の決定」の欄は空けず、自社で決めた人の名前を入れる運用にしておきます。

欄の作りで、迷いやすい点が三つあります。

  • 「整備の完了」と「運行再開」を別の欄にする。整備が終わった日と、整備管理者が運行の可否を改めて決めた日は、同じとは限らないためです。規程例第13条が前提にしているのは、整備の完了のあとでなければ運行に使わないことです
  • 「記録簿の完了日」と突き合わせる。点検整備記録簿には「整備を完了した年月日」を書く欄があります(道路運送車両法第49条第1項)から、不良の行の完了日と食い違っていないかを、月に一度見られます
  • 運行中に見つかった不良も、同じ二枚目に起こす。日常点検の印だけを入れる表にすると、運行中の故障が台帳の外に出ます

日常点検表の側では、印の扱いも揃えておくと、台帳と日常点検表を行き来しやすくなります。東京都トラック協会の適正化だよりは、日常点検表の記載例で、良好はレ点、要整備は×、修理整備後は○とし、運行可否確認の印を残すよう示しています(平成28年1月の資料で、現行の運用は別途確認が必要です)。国土交通省の規程例の日常点検表は、結果を〇・×で記入し、「前日・前回の運行において異常が認められた箇所」の行を設けています。翌朝の点検でこの行を見るとき、台帳の「未完了の不良」を一緒に確かめる入り口になります。

一件の経過を、架空の例で追ってみます。架空の例です。

  • 10月6日の朝:ある車の日常点検表で、ブレーキ液の量に×が付く。運転者が整備管理者の補助者に報告し、補助者がその車の運行を見合わせると決める。不良の行を起こし、車両の行の状態を「整備待ち」にする
  • 10月7日:整備工場に依頼。依頼先と依頼日を入れ、状態を「整備中」にする
  • 10月8日の夕方:工場から完了の連絡。完了日と整備の概要を入れ、状態を「確認待ち」にする
  • 10月9日の朝:整備管理者が完了を確かめ、運行の可否を改めて決める。運行再開の欄に日付と決めた人を入れ、状態を「運行可」にする。この日の日常点検では、前回の運行で異常が認められた箇所の行で、直した箇所を点検して結果を記入する

この例の日付や手順は、台帳の動かし方を示すための想定であり、実際の運用や期限を示すものではありません。

定期点検の予定日と実施日を、同じ車の行に置く

不良の行が運行に戻るまでを追うのに対し、車両の行は、定期点検の予定日と実施日を並べて見る役割も持ちます。

事業用自動車の定期点検は、3月ごとの点検と、12月ごとの点検(3月ごとの点検の項目に追加項目を加えたもの)の二種類です。中部運輸局の令和6年の講演資料には、車両番号ごとに「予定」と「実績」の二行を持つ計画(実施)表の例が載っています。3月ごとの点検を〇、12月ごとの点検を◎で予定の月に書き、実施したら日付を記入する形式です。定期点検の実施計画を定めることも、前に挙げたとおり整備管理者の権限(施行規則第32条第1項第6号)です。国土交通省の規程例の第14条も、整備管理者が定期点検整備の実施計画を定め、自動車特定整備事業者に依頼する等により確実に実施するとしています。つまり、予定と実施日を並べる表そのものは、国の資料にある形で、この記事の独自の考案ではありません。

この記事が足したいのは、その表を「不良の行」と同じ車の単位でつなぐことです。同じ車の行から、次の三つを引けるようにします。

  • 予定日を過ぎても実施日が空の車
  • 未完了の不良の行が開いたままの車
  • 不良の整備が定期点検の入庫と重なった車(点検整備記録簿の完了日と、不良の行の完了日を突き合わせる対象)

3月ごとの期間を、前回の実施日から数えるのか、月単位で管理するのかは、取得した条文からは読み取れませんでした。自社の管理の仕方は、整備管理者と所管の運輸支局に確認して、台帳の「次回の予定日」の出し方に書いておいてください。

東京都トラック協会の適正化だよりは(平成28年の資料です)、巡回指導での指摘例として、有資格者の運行可否の決定がないこと、3か月点検の一部未実施、直近1年分の点検記録簿の一部保存なしを挙げています。国土交通省の資料は、整備管理者の解任命令が行われる場合として、日常点検に基づく運行の可否の決定を全く行わない、複数の車両について1年以上定期点検を行わないなど、整備管理者としての業務の遂行状態が著しく不適切な場合のような事例を挙げています。これらは、台帳があれば自動的に避けられるという話ではありません。ただ、指摘の例には「車両ごとの予定と記録が揃っているか」にかかわるものが含まれているため、車両の行は、そこを先に見られる並びにしておく価値があります。

巡回指導の指摘を、いつの時点で「閉じた」とするかは、巡回指導で受けた指摘は、改善報告を出した日で閉じるか、直ったと確かめた日で閉じるかで扱っています。台帳の「完了の確認」の欄は、この考え方を車両の整備に当てはめたものと見ることができます。

誰が入力し、誰が毎月見るか

台帳が止まる典型は、入力する人と見る人が決まっていないことです。規程例には、そのまま使える手がかりが二つあります。

一つ目は、整備管理者が運行管理者と常に連携をとり、運行計画等を事前に把握して、定期点検整備の計画や車両の配車等について協議するとした条文です(規程例第4条)。二つ目は、同じ条の、車両管理の状況を毎月1回以上、代表者に報告するとした部分です。

この二つを台帳に当てはめると、役割は次のように分けられます。

  • 入力:不良の発見と報告は運転者や検査係、運行可否の決定と完了の確認は整備管理者(不在時は補助者)、整備の手配と完了の連絡は整備管理者側
  • 毎朝見る:運行管理者は、配車の前に、車両の行の「状態」が整備待ち・整備中・確認待ちの車が、配車表に載っていないかを見る
  • 毎月見る:整備管理者は、開いたままの不良の行と、予定日を過ぎた定期点検を代表者に報告する

配車表との接点は、配車を当日に変えたときにずれやすい部分でもあります。変更の決定・伝達・記録の分け方は、配車を当日に変えたとき、運行管理者の指示と記録はどうつながるのかで扱っています。整備待ちの車を配車から外す流れも、同じ「決める・伝える・残す」で考えられます。

補助者に運行の可否を任せる場合は、その日の台帳に、補助者の氏名を入れてください。補助者を置く場合の指導教育は、規程例の第26条にあり、教育内容を記録・保存するものとされています。

台帳をどこに置くかの判断条件

紙の台帳、表計算、運行管理のシステムのどれにするかは、製品の優劣ではなく、次の三つの判断条件で決めます。

  • 印が付いたその日のうちに、不良の行を起こせるか(日常点検表が紙なら、転記する人と時刻を決める)
  • 営業所で、開いたままの不良を一覧で見られるか
  • 入力した人と日時が残り、後から書き換えた形跡を追えるか

点検整備記録簿そのものを電磁的記録で保存する場合は、国土交通省が使用者向けの取扱いを示しています。ファイル形式に決まりはないものの、地方運輸局長等から提示を求められたとき直ちに明瞭な状態で示せる必要があり、媒体の故障やバッテリー切れなどで直ちに表示できない場合は、点検整備未実施として扱うとされています。これは法定の点検整備記録簿についての取扱いで、自社の管理用の台帳にそのまま当てはまる話ではありません。ただ、台帳の「記録の置き先」の欄から、記録簿の所在をすぐ引けるようにしておくと、提示を求められたときに迷いません。

台帳づくりと、当社の運送向け支援の範囲

当社は運送会社向けに、点呼・日報・日常点検・勤怠・教育・整備などの必要な記録について、未入力を毎日検知し、「誰が・いつまでに・何を直すか」をタスクとして出す運用を設計しています。この記事の台帳は、その考え方を、日常点検で出た不良に当てはめた一般的な進め方の提案です。この記事は、整備の要否や運行の可否を判断するものではありません。法令判断や行政対応の最終判断はお客様に行っていただき、必要に応じて専門家と連携する前提です。

提供内容の詳細は運送の監査対応をAIで仕組み化|点呼・日報・運行管理に掲載しています。監査で見られる書類の全体は運送の監査で見られる書類まとめに、巡回指導の項目を日々の運用に落とす方法は運送の巡回指導(38項目)を日常運用に落とす方法にあります。運転者側の期限を台帳で追う考え方は、適性診断(初任・適齢・特定)の受診漏れを防ぐで扱っています。車両側の本記事とは、対象と根拠の法令が別です。

自社の台帳の置き方を相談したい方へ

「要整備」の印のあと、運行に戻るまでを自社のどの記録に残し、誰が確かめるかが決まっていない場合は、まず現状の日常点検表、点呼の記録、整備の控えを並べるところから始められます。

日常点検で出た不良を、整備の完了まで車両ごとに追う台帳の置き方を整理したい方は、個別相談の予約へお進みください。(個別相談会(30分)の予約ページへ移動します)

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