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内定者の情報を配属先に引き継ぐとき、何を渡し何を渡さないか:項目の線引きと、入社前の連絡の担当を決める

AI

内定を出したあと、人事の手元には、手続きの書類、本人からの連絡、選考のときの記録が集まります。入社が近づくと、配属先の現場から「あの人はどんな人か」「入社前に何か伝えておくことはあるか」と聞かれ、そのたびに人事が口頭やメールで答えているうちに、何をどこまで渡したのかが分からなくなることがあります。

確認した記事の範囲では、内定者フォローや配属を扱う記事は、情報提供や面談、相談窓口、配属先の決め方といった本人への働きかけや人事側の準備を扱っていました。この記事は、人事が持つ情報を配属先にどう渡すか、入社前の本人への連絡を誰が持つかという、社内の引継ぎの整理に絞ります。個人情報の扱いの適否は、この記事では判断しません。

入社前の引継ぎで決める3つとは

入社前の引継ぎとは、内定から入社日までの間に、人事が持つ内定者の情報のうち配属先が受け入れ準備に使う分だけを渡し、それ以外は渡さず、本人への連絡を誰が持つかを決めておくことを指します。

決めること中身
渡す情報配属先が受け入れ準備のために必要とする項目。誰に、いつ渡すか
渡さない情報人事の手元にとどめる項目。配属先から求められたときの扱い
連絡の担当と戻し先入社前に本人へ連絡する人。例外が起きたときに戻す先

1. 人事が持つ情報を、4つに仕分ける

まず、人事が内定者について持っている情報を、渡し方の考え方が同じものごとに分けます。

区分例配属先への渡し方の考え方
①受け入れ準備に直結する事務情報入社日、配属先の部署、上長や育成担当、勤務地、機材やアカウントの手配に要る情報渡す。ただし手配に要る項目だけに絞る
②内定後に本人から受けた連絡や希望入社日までの連絡手段の希望、入社日についての相談、入社前の不安として本人が話した内容本人にどう伝えてあるかを確かめ、必要な人にだけ渡す
③選考時の記録面接の評価、適性検査の結果、選考中のメモ既定は渡さない。渡すなら、理由と範囲を決めたうえで専門家に確認する
④選考の場では把握しない・引継ぎ票に欄を作らない情報本人に責任のない事項、思想・信条に関わる事項選考の場では把握せず、引継ぎ票にも欄を作らない

③を「既定は渡さない」とするのは、渡してよいか分からないものを、現場の期待に押されて渡してしまうことを防ぐためです。渡す必要があるかどうかを、項目ごとに確かめてから決めます。

項目ごとに確かめる3つの問い

引継ぎ票に項目を載せる前に、次の3つを項目ごとに確かめます。

  1. 配属先は、その情報がないと、どの準備ができないのか(必要な理由を一文で言えるか)
  2. 本人は、その情報が配属先に渡ることを知っているか(取得したときに伝えた利用目的の範囲に収まるか)
  3. 渡す相手は、配属先の誰までか(上長だけか、チーム全員か)

一文で理由を言えない項目は、渡さない側に置きます。

④は、採用選考の場で応募用紙や面接を通じて把握しない事項の考え方に沿った区分です。入社後に、社会保険などの手続きのために本人から正式に届け出てもらう事項(扶養関係など)とは別の話で、そちらは入社手続きの担当と専門家の確認に従って扱います。

渡す前に確認しておきたい、公開資料の記載

ここでは、公開資料の本文を読んで確認できた範囲だけを整理します。当てはまりの判断はしません。

  • 個人情報保護法は、個人情報を取り扱うにあたり、利用目的をできる限り特定するよう求めています(第17条第1項)。あらかじめ本人の同意を得ないで、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならない、という定めもあります(第18条第1項。例外は同条第3項)。選考のために取得した情報を配属先の受け入れ準備に使うことが、取得したときに伝えた利用目的の範囲に収まるかは、人事が確認する論点になります。
  • 配属先が同じ法人の部署か、グループ会社など別の法人かで、論点が変わりえます。個人データを第三者に提供する場合は、あらかじめ本人の同意を得ることを原則とする定めがあります(第27条第1項。例外あり)。
  • 職業安定法第5条の5は、労働者の募集を行う者などが求職者等の個人情報を扱うときについて、業務の目的の達成に必要な範囲内で、目的を明らかにして集め、その目的の範囲内で保管し使うよう定めています(本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合を除く)。
  • 厚生労働省「公正な採用選考の基本」は、本籍・出生地、家族、住宅状況、生活環境など本人に責任のない事項や、宗教、支持政党、人生観など本来自由であるべき事項を、応募用紙や面接で把握することは就職差別につながるおそれがある、としています。④の区分は、この記載を踏まえた置き方です。同ページは採用選考時の把握について述べたもので、入社後の手続きや配属先への引継ぎについて述べたものではありません。

個別の事案に当てはまるかどうかは、社内の法務や、社会保険労務士などの専門家、所管の窓口に確認してください。

2. 引継ぎ票は、5つの欄で作る

仕分けた項目を、1つの表(引継ぎ票)にまとめます。口頭やメールで都度渡すより、何をいつ誰に渡したかが後から追えます。

欄書くこと記入例(架空)
項目渡す情報の名前配属先の部署、入社日
渡す相手配属先の誰か。役割で書く配属先の上長、育成担当
渡す時点配属が決まったとき、入社の案内を出すときなど配属先が決まった時点
渡す理由受け入れ準備の、どの作業のためか(一文)席と機材の手配のため
本人への伝え方本人に、渡ることをどう伝えてあるか内定通知に、配属先に共有する旨を記載済み

記入例は、書き方を示すための架空の例です。「渡す理由」を書けない項目は、表に載せません。

渡さない項目も、別の欄に名前だけ書いておくと、配属先から求められたときに「これは渡さない項目」と答えられます。理由まで書くかどうかは、社内で決めてください。

3. 入社前の連絡の担当を、時期ごとに決める

本人への連絡が、人事と配属先の両方から別々に届くと、本人が混乱します。時期ごとに、主な連絡の担当を決めます。

時期本人への連絡の主な担当配属先が行ってよいこと人事に戻すこと
内定から配属先の決定まで人事本人へは連絡しない現場から本人への接触の希望
配属先の決定後、入社日の前まで人事(窓口は人事のまま)初日の集合や持ち物など、人事が内容を確認した案内を、配属先が送る本人から現場へ届いた相談、条件の変更
入社日の直前配属先の上長(初日の案内)初日の流れの案内連絡がつかない、返信がないといった異常

2行目は、案内の内容の確認と窓口は人事、送付は配属先、という分け方の例です。上の表は決め方の例です。自社の規模や、配属の決まるタイミングに合わせて変えてください。大切なのは、時期ごとに窓口が1人(1つの役割)に決まっていることです。

4. 例外が起きたとき、誰に戻すか

引継ぎ票どおりに進まない場面を、先に挙げておきます。

場面最初に受けた人戻し先戻すときに添えること
本人が現場の人に、入社日や勤務についての相談をした現場の人人事の窓口本人の言葉、受けた日時と受けた人。現場の中では広げない
本人が現場の人に、辞退をほのめかした現場の人人事責任者同上
本人が、健康や家庭の事情を現場の人に話した現場の人人事責任者受けた人は他に広げない。扱いは社内規程や専門家に確認
配属先が、引継ぎ票にない情報を求めてきた人事人事責任者求める理由。渡すかどうかは、項目ごとの3つの問いで判断
本人と連絡がつかない配属先の上長または人事人事の窓口連絡を試みた日時と手段

戻し先が決まっていないと、受けた現場の人が自分の判断で答えたり、周りに相談して情報が広がったりします。

判断条件:引継ぎ票が向いているケース、先に別の整理が必要なケース

向いているケース:

  • 配属先が複数あり、人事から現場へ渡す情報の量が人によってばらついている
  • 内定から入社までに、人事と現場の両方が本人に連絡する場面がある
  • 引継ぎの内容を、後から確認する必要がある

先に整理したほうがよいケース:

  • 選考時に本人へ伝えた利用目的が、手元で確認できない
  • 配属先が別の法人で、どの情報をどの根拠で渡すかが決まっていない
  • 人事の窓口になる人が、決まっていない、または1人に偏っていて代わりがいない

決める手順

手順1:人事が持つ情報を書き出し、4つの区分に仕分ける。

手順2:①と②の項目について、3つの問いで「渡す/渡さない」を決める。

手順3:渡す項目を、5つの欄の引継ぎ票にまとめる。

手順4:時期ごとに、本人への連絡の担当を決める。

手順5:例外の場面と、戻し先を一覧にする。

手順6:直近の内定者1人分で試し、渡しすぎ・足りなかった項目を引継ぎ票に戻して見直す。

仕組みに任せる範囲

引継ぎ票の下書きづくりや、決まった項目の転記、連絡文の下書き、期限のリマインドは、AIや決まった処理に任せやすい部分です。一方、項目を渡すかどうかの線引き、例外の判断、本人への最終的な連絡は、人が決めて行う部分として残します。これは一般的な進め方の整理で、特定のツールや効果を前提にしたものではありません。

うまくいかないパターン

  • 配属先から聞かれるたびに、人事が口頭やチャットで答え、何を渡したか記録がない
  • 選考時の評価を、受け入れ準備の名目で現場に渡している
  • 本人に伝えた利用目的と、実際の渡し方が合っているかを確かめていない
  • 人事と配属先の両方が本人に連絡し、案内が重複したり食い違ったりする
  • 現場に届いた本人の相談が、人事に戻らないまま止まっている
  • 窓口の担当者が休んだとき、代わりに受ける人が決まっていない

WITHPROJECTSの採用AXの範囲

WITHPROJECTSの採用AXの公開ページでは、入社前の引継ぎについて、情報のまとめと必要な連絡の下書きをAI・ルールに任せやすいこととして、内容の確認と本人への最終連絡を人が決めることとして整理しています。この節は、自社の公開ページの記載の範囲にとどめています。

採用業務全体をAI・ルール・人にどう分けるかは採用AXとはに、依頼前に整理しておく点は採用AI化の依頼前に、人事が整理しておく5つのことに、依頼先を見比べる軸は採用AIの委託先の選び方にまとめています。本人に利用目的や取扱いをどう伝えるかは、採用でAIを使うとき、応募者に何をどこまで伝えるかも参考にしてください。

相談前のメモは、この5行から

項目書くこと
対象どの採用区分・どの配属先の内定者の引継ぎか
渡している情報いま配属先に渡している項目と、渡し方(口頭、メール、システム)
渡していない情報渡さないと決めている項目。決めていなければ「未整理」と書く
連絡の担当入社前に本人へ連絡している人と、時期。重なっている箇所
例外の戻し先現場に本人の相談が届いたときの戻し先。決まっていなければ「未整理」

次の一歩

入社前の引継ぎを含め、採用業務のどこまでをAI化できるかを、渡す情報と連絡の担当の線引きから整理したい方は、個別相談の予約へお進みください。(個別相談会(30分)の予約ページへ移動します)

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