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面接メモをAIに整形させる前に決めておく:評価項目・判断の段階・記録の分け方

AI

面接のメモをAIに整えさせれば、記録の手間は軽くなりそうです。ただ、「どの評価項目に沿って整えるのか」「どこまでをAIに任せ、どこからを面接官が決めるのか」が決まらないまま使い始めると、整った文章を面接官がそのまま評価欄へ写してしまい、あとで理由を説明できなくなることがあります。

この記事は、質問例や評価シートの雛形を並べるものではありません。AIに面接メモを渡す前に、人事側で言葉にしておきたい3点と、AIの整形結果と面接官の評価を別々に残す考え方に絞って整理します。評価も合否の判断も、人が行うものとして話を進めます。

整形の前に決める3つとは

「評価項目」「判断の段階」「記録の分け方」とは、AIに面接メモを渡す前に、人事側で決めておく3点を指します。

決めること中身
評価項目何を見て評価するのか(職務に必要な適性・能力)。どんな発言があれば該当とみなすか
判断の段階メモから選考の判断までに、どんな段階があり、各段階を誰が担うのか
記録の分け方AIが整形した内容と、面接官が付けた評価を、別の記録として残すか

1. 評価項目:項目名だけでなく「該当の目安」まで書く

厚生労働省「公正な採用選考の基本」は、面接でも、職務遂行に必要な適性・能力を評価する観点から、あらかじめ質問項目や評価基準を決めておくこと、適性・能力に関係のない事項を尋ねないよう留意することを挙げています。AIに整形を任せる場合も、この「あらかじめ決めた評価基準」が、AIへの指示と面接官の読み方の共通の土台になります。

項目名が「主体性」「コミュニケーション力」だけだと、AIも面接官も、それぞれの解釈で振り分けます。項目ごとに、どんな発言や行動の記述があれば該当とみなすかを、短く言葉にしておきます。

書くこと曖昧な書き方の例決めておく書き方の例
項目の意味「主体性がある」「自分で課題を見つけ、周囲に働きかけた経過が、応募者自身の発言として確認できる」
該当の目安(書かない)「どの場面で、何をしたか」が発言に含まれているかどうか
該当しない場合の扱い(書かない)発言がなければ「確認できず」と記録し、推測で補わない

評価に使わない情報も、先に決める

同じ厚生労働省のページは、本籍・出生地、家族、住宅状況、生活環境など、本人に責任のない事項や、思想・信条に関わる事項を面接で尋ねたり把握したりすることが、就職差別につながるおそれがあるとしています。面接メモにこうした内容が混ざったとき、AIが項目へ振り分けてしまわないよう、「評価に使わない情報が混ざっていたら、振り分けずに別扱いにして面接官へ戻す」といった扱いを、AIへの指示と面接官の運用の両方で決めておきます。ただし、個々のメモが評価に使える内容かどうかは、この記事では判断できません。専門家や所管の窓口に確認してください。

2. 判断の段階:メモから選考の判断までを4つに分ける

「AIが整理した」と「評価した」は別のことです。メモから選考の判断までを4つの段階に分け、段階ごとに担当を決めます。

段階中身AIに任せやすいこと人が決めること記録に残すもの
①発言の記録応募者が実際に話した内容文字起こし、要約、メモの整形原文と照らし、発言が変わっていないかを確認する原文(録音・文字起こし・元のメモ)
②項目への振り分け発言を評価項目ごとに並べる項目別に並べた下書き振り分けの誤りや抜けを確認するAIの整形結果(作成日、使った評価項目の版)
③面接官の評価項目ごとの評価と、その理由任せない評価と理由を面接官自身が書く面接官の評価、評価者、評価日
④選考の判断次の選考へ進めるか、合否任せない人事・採用責任者が決める判断者と、判断の根拠にした記録

AIの整形結果に「この項目は高い」「評価は低め」といった評価めいた表現が混ざることもあります。それは③の評価ではないものとして、取り除くか、参考欄に分けるかを、先に決めておきます。

3. 記録の分け方:AIの整形結果と面接官の評価を、別々に残す

AIが整形した文章を面接官が直し、そのまま評価欄に上書きしていくと、あとから次のことが分からなくなります。

  • 元の発言から、AIがどう振り分けたのか
  • 面接官が、AIの振り分けのどこを採用し、どこを直したのか
  • 面接官は、AIの整形結果を見る前に評価したのか、見たあとに評価したのか

そこで、①②の記録(原文とAIの整形結果)と、③の記録(面接官の評価)を、別々の欄または別の記録として残します。それぞれに残す項目の例は次のとおりです。

記録残す項目の例
AIの整形結果元データの所在、作成日、使った評価項目の版、AIの出力そのもの(修正前)
面接官の評価評価者、評価日、項目ごとの評価と理由、AIの整形結果を参照したかどうか

評価をAIの整形結果を見る前に書くか、見たあとに書くかは、社内で決める設計事項です。先に自分で書けば、AIの文章に引っ張られにくくなる一方、手間は減りにくくなります。見たあとに書く運用なら手間は軽くなる一方、整形結果の表現に評価が寄る可能性を、運用で補う必要があります。

保存先(採用管理システムか別の場所か)、閲覧できる人、保存期間と削除の考え方は、応募者の個人情報の扱いに関わります。なお、職業安定法第5条の5には、求職者等の個人情報を、業務の目的の達成に必要な範囲で、目的を示して集め、その範囲で保管・使用することという趣旨の定めがあります。面接の記録やAIへ渡すデータに当てはめたときの扱いは、社内で論点を洗い出したうえで、専門家に確認してください。外部へ相談する前に社内で整えておく点は、採用AI化の依頼前に、人事が整理しておく5つのことで扱っています。

面接官ごとの評価のずれを、項目の言葉の見直しにつなげる

同じ発言の記録を複数の面接官が読んで評価し、評価が分かれた項目を洗い出します。分かれ方が大きい項目は、項目の言葉や該当の目安が曖昧な可能性があります。

AIの整形結果と面接官の評価を別々に残していれば、ずれの原因を「AIの振り分けが違った」「項目の言葉が曖昧だった」「面接官の解釈が違った」に切り分けやすくなります。切り分けた結果は、評価項目の版を改めるかどうかの判断材料にします。数値で目標を置くかどうかは、現在の運用を確認してから決めます。

判断条件:先に決めておいたほうがよいケース

先に決めておくことが向いている場合:

  • 面接官が複数いて、同じ職種を担当している
  • 評価項目が文章で書かれており、後から見返せる
  • 評価の理由を、後から説明する必要がある

まだ早い、または別の整理が先の場合:

  • 評価項目が、各面接官の頭の中にだけある
  • 面接で聞く内容が、面接官ごとに大きく違う
  • 応募者データの保管・利用・削除の方針が決まっていない
  • 整形結果の確認を、誰がいつ行うのかが決まっていない

決める手順

手順1:評価項目を、職務に必要な適性・能力に絞って書き出す。

手順2:項目ごとに「該当の目安」を言葉にし、評価に使わない情報の扱いを決める。

手順3:4つの段階ごとに、AI・面接官・人事の担当を決める。

手順4:AIの整形結果と面接官の評価の保存場所と項目を分け、評価を書く順番を決める。

手順5:ひとつの職種・ひとつの選考段階で試し、評価が分かれた項目を、項目の言葉に戻して見直す。

相談前のメモは、この5行から

項目書くこと
対象の面接どの職種・どの選考段階で使うか
評価項目と目安項目と該当の目安が文章になっているか。ないなら「未整理」と書く
判断の段階と担当4つの段階のうち、いま決まっているところ・決まっていないところ
記録の分け方保存先、AIの整形結果と評価を分けて残せるか、評価を書く順番
扱いの方針評価に使わない情報の扱い、応募者データの保管・削除の考え方

決めないまま始めたときの失敗パターン

  • 評価項目が曖昧なまま、AIの整形結果を評価欄へそのまま写している
  • AIの出力が上書きされ、元の整形結果が残っていない
  • 評価に使わない情報が混ざったとき、誰がどう扱うかが決まっていない
  • AIの整形結果に含まれた評価めいた表現が、面接官の評価として扱われている
  • 面接官ごとの評価のずれが、評価項目の言葉の問題かどうかを確かめていない

WITHPROJECTSの採用AXの範囲

WITHPROJECTSの採用AXの公開ページでは、評価記録について、面接メモの整形と評価項目への振り分けはAI・ルールに任せやすいこととして、評価そのものと合否の判断は人が決めることとして整理しています。採否そのものを、中身の見えないAIに任せる設計はしない旨も、同ページに記載しています。当社は採用AXの委託先の候補にもなる立場ですので、この節は自社の公開ページの記載の範囲にとどめています。

採用業務をAI・ルール・人にどう分けるかは採用AXとはに、依頼先を見比べる軸は採用AIの委託先の選び方にまとめています。

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