2026年4月改正を前提に、Gマーク担当が今すぐ見直すべき実務
目次
「2025年からやっているから大丈夫」では済まない理由
2025年から、運送会社ではすでに多くの法対応が始まっています。
たとえば、運送契約時等の書面交付、実運送体制管理簿の作成・保存、そして荷待ち時間・荷役作業等の記録義務の拡大です。国土交通省は、2025年4月1日からこれらの制度が施行され、特に荷待ち・荷役等の業務記録については対象車両が全車両に拡大したことを明示しています。
ただ、ここで勘違いが起きやすい。
2025年に記録を始めたことと、2026年4月改正に対応できることは別物です。
2026年度施行分では、一定規模以上の貨物自動車運送事業者等に対し、中長期計画の作成と定期報告が求められます。国土交通省の理解促進ポータルでは、指定基準値として保有車両台数150台以上が示されており、これに該当する事業者は、単に記録を残すだけでなく、その記録をもとに改善計画と報告まで回す体制が必要になります。さらにポータルでは、2026年3月3日に中長期計画書・定期報告書の記載事例集が公開されており、制度が実務段階に入っていることが分かります。
つまり、2026年4月を前提にすると、Gマーク担当の仕事はこう変わります。
「安全書類をそろえる担当」から、「法対応に耐える証跡を、継続的に集め・整え・説明できる担当」へ変わるのです。
外部の行政書士や委託先が関与していても、最終的に会社の中で回っていなければ、監査にも改善にも使えません。ここが肝です。
さいしょに結論を
2026年4月を前提に、Gマーク担当が見直すべきポイントは3つです
1. 記録しているかではなく、集計できるかを確認すること
2025年から荷待ち・荷役等を記録していても、自由記述や紙ベース中心だと、2026年に必要な分析や報告に使えません。国の制度は、単なる保存よりも、改善につながる把握を前提にしています。
2. Gマーク・法改正・外注先管理を分けて考えないこと
現場では、Gマーク対応、行政書士対応、法改正対応が別々に走ると破綻します。契約書面、実運送体制管理簿、業務記録は、別物ではなく一本の証跡として管理する必要があります。
3. 2025年の“記録開始”を、2026年の“説明責任”に変換すること
2026年度施行分は、一定規模以上の事業者で中長期計画・定期報告が求められるため、今までの「とりあえず記録している」では弱い。どの荷主・どの倉庫・どの便で、何がボトルネックなのかを説明できる状態が必要です。
なぜ「2025年からやっているから大丈夫」は危ないのか
1. 2025年対応は“入力開始”であって、“運用完成”ではない
2025年4月1日施行分として、国土交通省は主に次の対応を求めています。
- 運送契約締結時等の書面交付義務
- 実運送体制管理簿の作成・保存義務
- 健全化措置に関する取組と、一定の場合の運送利用管理規程・運送利用管理者
- 荷待ち時間・荷役作業等の記録対象の全車両拡大
これらは全部、「まず記録・保存する」ための土台です。
ですが、2026年に向けて求められるのは、そこから一段上です。
特定事業者に指定される規模の会社では、記録した事実をもとに中長期計画を作り、定期報告まで行う必要があります。つまり、記録がバラバラではだめで、改善の根拠になる形に整理されていなければ意味がないのです。
2. 「書式がある」と「回っている」は違う
この手の制度対応で一番多い事故は、書式だけ作って終わることです。
現場ではよくあります。
- ドライバーは入力項目の意味が分からない
- 管理者はチェックしていない
- 行政書士や外注先には月末にまとめて渡す
- でも元データに抜け漏れが多い
- 結局、説明できない
国土交通省は、荷待ち時間・荷役作業等の記録を最低1年間保存することや、荷主確認の有無等を含む記録の考え方を示しています。これは裏を返せば、単なるメモではなく、後から説明できる記録が求められているということです。
3. 業界全体でも、制度対応はまだ“完璧”ではない
全日本トラック協会の2025年3月公表資料では、改正改善基準告示について**「守れていない基準がある」事業者が29.9%、また制度内容について「全体的に内容は確認しているが、詳細は把握していないところがある」が52.5%**でした。
この数字は、法対応やデータ運用が業界全体でまだ完全には定着していないことを示す材料として重いです。
なので、Gマーク担当や外注先が持つべき危機感はこうです。
「うちはもう2025年から記録している」ではなく、「その記録は2026年の説明責任に耐えるか」を問う段階に入った、です。
Gマーク担当・行政書士・外注先が、今すぐ共通認識にすべきこと
1. Gマーク対応と法改正対応は、実務上は分離できない
Gマークは安全性優良事業所認定であり、2026年問題そのものの制度ではありません。
ただし現場では、運行管理、教育、安全管理、記録保存、実態把握が重なるため、法改正対応で整えたデータがGマーク実務の基礎資料になる場面が増えます。国交省・業界団体の制度趣旨を踏まえると、両者を別管理にするより、証跡を一本化した方が合理的です。
外注している場合も同じです。
外注先が申請書類を整えることはできても、日々の入力・確認・保存の流れを社内で設計していなければ、結局は空中戦になります。
2. 行政書士に頼んでいても、会社側が持つべき仕事は消えない
行政書士や外部のコンサルができるのは、主に以下です。
- 制度の整理
- 様式の整備
- 申請や報告の支援
- 監査や更新を見越した整え方の助言
一方、会社側に残る仕事は消えません。
- 誰が現場で入力するか
- どのタイミングで確認するか
- どこに保管するか
- どの粒度で集計するか
- 荷主や協力会社とどう整合を取るか
ここを会社側が持たずに外注だけで回そうとすると、だいたい崩れます。
制度は書類ではなく運用を見に来るからです。これは実務上の話で、かなり残酷ですが本当です。
今すぐ見直すべき「最低限のデータ項目」
以下は、2026年4月を見据えて、Gマーク担当・行政書士・外注先が共通で押さえるべき最低限の項目です。
ポイントは、“保存のための項目”ではなく、“あとで集計・説明できる項目”にすることです。
A. 運行・現場記録
- 運行日
- 車番
- ドライバー名
- 荷主名
- 発地・着地
- 到着時刻
- 荷待ち開始時刻
- 荷待ち終了時刻
- 荷役開始時刻
- 荷役終了時刻
- 附帯業務の有無
- 附帯業務の内容
- 出発時刻
- 荷主確認の有無
- 特記事項
これがないと、国交省が求める荷待ち・荷役等の記録義務に対し、あとから根拠を説明しにくくなります。
B. 契約・請求のひも付け
- 対象運送契約の番号
- 契約日
- 運送内容
- 対価
- 附帯業務料
- 燃料サーチャージ等の有無
- 実施した附帯業務との対応関係
運送契約締結時等の書面交付義務は、単に契約書があることではなく、何をどの条件で受けたかを明確化することが趣旨です。運行記録とつながっていない契約情報は、実務で死にます。
C. 実運送体制
- 元請名
- 委託先名
- 実運送事業者名
- 運送区間
- 委託回数
- 実運送体制管理簿との対応番号
実運送体制管理簿の作成・保存義務は、誰が実際に運んだのかを追える状態を求めています。外注や多層下請がある会社は、ここが弱いと一気に危ないです。
Gマーク担当が月次で見るべき数字
2026年4月を前提にすると、Gマーク担当は「書類管理者」では足りません。
月次で最低限、以下の数字を見てください。
- 荷待ち30分超の件数
- 荷待ち30分超の発生拠点
- 荷役時間が長い案件数
- 附帯業務の発生件数
- 荷主確認未取得の件数
- 契約書面未整備件数
- 実運送体制管理簿の未整備件数
- 協力会社委託比率
- ドライバー入力漏れ件数
なぜこの数字か。
国の制度は、荷待ち・荷役等の把握と、運送取引の適正化、そして一定規模以上では改善計画・定期報告へつながっているからです。つまりこの数字は、単なる管理ではなく、改善と説明の入口になります。
外注している会社ほど、今すぐやるべきこと
外注している会社ほど、次の3点を確認してください。
1. 外注先に「何を毎月渡すか」を固定する
おすすめは、月末に以下の3点セットです。
- 業務記録のCSVまたは一覧表
- 契約書面・附帯料金関係の更新分
- 実運送体制管理簿の更新分
これが毎月同じ形式で出ない会社は、たいてい後で苦しくなります。
2. 外注先から「戻ってくる管理表」を固定する
外注先から返してもらうものは、単なるコメントでは弱いです。
最低でも、以下を一覧化して返してもらうべきです。
- 未入力
- 不整合
- 荷主確認不足
- 契約とのひも付き不足
- 要是正案件
3. 会社側に“最終責任者”を置く
外注していても、社内で見る人がいないと、制度は回りません。
Gマーク担当でも、運行管理者でも、総務でもいい。
ただし、**「最後に数字を見て判断する人」**は必須です。
すぐ使えるセルフチェック
5つの質問で分かる「うちは2026年対応に近いか」
- 荷待ち・荷役・附帯業務の記録は、全車両で統一された形式になっているか。
- その記録は、荷主別・拠点別・便別に集計できるか。
- 契約書面の内容と、実際の附帯業務・待機実態が結び付いているか。
- 実運送体制管理簿は、誰が見ても実運送先を追えるか。
- 行政書士や外注先がいなくても、社内で月次の異常件数を説明できるか。
この5つのうち、3つ以上で詰まるなら、
**「2025年からやっている」ではなく、「まだ2026年対応に必要な運用設計が終わっていない」**と見た方がいいです。
最後に
Gマーク担当の仕事は、これから“申請業務”より“運用設計”が重要になる
2026年4月改正を前提にすると、Gマーク担当の本当の仕事は、認定資料の取りまとめだけではありません。
会社の現場データを、法対応・安全管理・改善活動に使える形へ変換することです。
行政書士が入っていても、外注していても、この本質は変わりません。
2025年から記録している会社ほど、今やるべきなのは「記録の開始」ではなく、記録の構造化です。
言い換えるとこうです。
言い換えるとこうです。
**2025年は“書く年”、2026年は“説明する年”**です。
ここを取り違えると、やっているつもりで刺さります。制度はそこそこ容赦がない。
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