荷待ち時間・荷役作業等の記録義務とは?2025年以降の実務対応をわかりやすく整理
- 属人化リスク

荷待ち時間や荷役作業等の記録義務について、
「名前は知っているけれど、実際に何をどこまで残せばよいのか分からない」
という状態になっていませんか。
このテーマは、制度としては以前から存在しています。
国土交通省は、貨物自動車運送事業輸送安全規則に基づき、荷主の都合で30分以上待機した場合の荷待ち時間 や、荷役作業等の内容・開始終了時刻・荷主確認の有無 を乗務記録に記載することを求めています。 (MLIT)
ただ、2025年以降に実務として重くなるのは、
単に「書いているかどうか」ではなく、記録が使える状態になっているか です。
- 記録しているが自由記述ばかり
- 紙中心で集計できない
- 車両ごとに形式が違う
- 荷主確認が曖昧
- 月末にまとめて整えている
こうした会社は、制度上は対応しているつもりでも、実務ではかなり危ないです。
この記事では、荷待ち時間・荷役作業等の記録義務の基本と、2025年以降に中小運送会社がどこを見直すべきかを、現場目線で整理します。
荷待ち時間・荷役作業等の記録義務とは
国土交通省の整理では、トラック運送業において、拘束時間に関する基準の遵守や長時間労働の改善、取引環境の適正化を進めるため、一定の車両について荷待時間や荷役作業等が乗務記録の記載対象とされています。具体的には、荷主の都合により30分以上待機した場合 に、集貨地点等、到着・出発時刻、積込み・取卸しの開始・終了時刻などの記録が必要とされ、また荷役作業等を実施した場合には、開始・終了時刻、内容、荷主確認の有無等の記録が必要とされています。 (MLIT)
ここで大事なのは、この義務の目的です。
これは単なる事務作業ではありません。
国土交通省は、荷待ち時間等の記録義務を、ドライバーの長時間労働の是正、取引環境の適正化、そして荷待ち時間を生じさせている荷主に対する改善の判断材料にすることを目的として位置づけています。 (MLIT)
つまり、荷待ち・荷役記録は「残して終わり」の書類ではなく、
改善や説明責任につなげるための基礎データ です。
2025年以降に何が変わったのか
2025年以降に実務が重くなる理由は、制度が“記録すること”から“実態把握に使うこと”へ、より強く寄ってきているからです。
国土交通省の改正貨物自動車運送事業法関連ページでは、令和7年4月1日施行 の情報として、書面交付関係、健全化措置関係、実運送体制管理簿関係と並んで、荷待時間・荷役作業等の記録義務の対象拡大 に関するリーフレットが案内されています。 (MLIT)
つまり、2025年以降は、
「一部の担当者だけが分かっていればよい」
「監査前にまとめて出せばよい」
という運用では厳しくなります。
実務として求められるのは、
- 記録形式がそろっていること
- 必要項目が埋まっていること
- 月次で見直せること
- 荷主別・拠点別・便別に整理できること
です。
ここが弱い会社は、制度対応しているつもりでも、実務ではかなり苦しくなります。
記録していても危ない会社の特徴
自由記述
一番多いのがこれです。
「とりあえずメモ欄に書いている」状態。
自由記述は、その場では楽ですが、後から集計できません。
荷待ちと荷役が混ざる、附帯業務が曖昧になる、荷主確認の有無が追えない。
この状態では、改善にも説明にも使えません。
紙中心
紙が悪いわけではありません。
ただ、紙だけで運用していると、月次で数字を見たり、便別・拠点別に比較したりするのが重くなります。
結果として、
「記録は残っているが、使えない」
になりやすいです。
車両ごとに形式が違う
車番ごとに書式が違う、ドライバーによって書き方が違う、営業所ごとに項目が違う。
これは本当に危ないです。
理由は簡単で、比較ができないからです。
異常なのか通常なのかすら、見えなくなります。
荷主確認が曖昧
国土交通省の整理では、荷役作業等を記録する際、荷主の確認が得られたか、得られなかったか も記載対象です。 (MLIT)
しかし実務では、ここがかなり曖昧になりやすいです。
- 口頭確認だけ
- 何をもって確認済みとするか曖昧
- 担当者ごとに扱いが違う
この状態だと、後から説明に困ります。
最低限そろえるべき記録項目
荷待ち時間・荷役作業等の記録義務対応として、最低限ここはそろえてください。
- 到着
- 荷待ち開始
- 荷待ち終了
- 荷役開始
- 荷役終了
- 附帯業務
- 荷主確認
国土交通省が記載対象として示しているのは、荷待ちについては集貨地点等、到着・出発時刻、積込み・取卸しの開始・終了時刻、荷役作業等については開始・終了時刻、内容、荷主確認の有無 です。 (MLIT)
実務では、ここに加えて
- 荷主名
- 便名や案件番号
- ドライバー名
- 車番
- 備考(例外理由)
まで持っておくと、後で集計しやすくなります。
2026年を見据えると何が必要か
記録しているだけで、安心していませんか?
2025年以降は、単に残すだけでなく、荷主別・拠点別・便別に見て説明できる状態が必要です。
今の記録形式で本当に足りるか、一度確認してみませんか?
保存ではなく集計
2026年を見据えるなら、保存しているだけでは足りません。
必要なのは、見返せること ではなく、比べられること です。
拠点別
どの拠点で荷待ちが多いのか。
どの拠点で荷役時間が長いのか。
拠点別に見ないと、改善対象が分かりません。
荷主別
荷主によって待機時間や附帯業務の偏りは大きく変わります。
荷主別に見ないと、交渉や改善の優先順位がつけられません。
便別
同じ荷主でも、便ごとに事情は変わります。
便別に見ないと、現場のどこがボトルネックかが曖昧になります。
ボトルネック説明
最終的に求められるのはここです。
「なぜこの便で待ちが発生したのか」
「どの荷主・どの拠点で偏っているのか」
「どう改善するのか」
ここまで説明できて初めて、記録が“使えている”状態といえます。
ここまで確認してみて、「うちは大丈夫だと思っていたけれど不安になってきた」と感じた方へ。
「うちは大丈夫」と思っていても、4月以降に帳票で答えられない会社は少なくありません。
Gマーク取得企業向けに、何を確認すべきかを整理したページはこちらです。
👉【Gマーク取得企業向け】4月以降、誰もが5時刻データの提出を求められたとき、今の帳票で答えられますか?
AIでどこまで楽にできるか
AIで一気に完全自動化する必要はありません。
むしろ現場で効果が出やすいのは、ばらついた記録の整理と、確認・集計の補助 です。
たとえば、
- ばらついた記録の整理
- 入力漏れの確認
- 集計の下準備
- 異常傾向の要約
こうした業務は、人がゼロになるわけではありませんが、かなり軽くできます。
特に運送会社の現場では、
「システムがない」のではなく、
システムの上に残っている手作業が重い
ことが多いです。
そこを軽くするのが、今のAIの現実的な使い方です。
まとめ
荷待ち時間・荷役作業等の記録義務は、単なる法令対応のための記録ではありません。
国土交通省は、荷待ち・荷役記録を、長時間労働の是正や取引環境改善のための基礎データとして位置づけています。 (MLIT)
そして2025年以降、実務で差がつくのは、
「書いているか」ではなく、
「集計できるか」「説明できるか」 です。
危ない会社の特徴は共通しています。
- 自由記述
- 紙中心
- 車両ごとに形式が違う
- 荷主確認が曖昧
逆にここを整えれば、2026年に向けてかなり強くなります。
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